• 【ID】P-9970
  • 【更新日】2025年11月19日
  • 【アクセス数】
  • 印刷する
PAGE TOP

建設水道常任委員会視察報告(令和7年10月6日から8日)

長崎県長崎市「長崎駅周辺再整備事業について」​

長崎市は、長崎県の南部に位置しており、江戸時代には海外に開かれた唯一の貿易・文化の窓口として、また近代以降は造船業を主として栄えた都市である。昭和20年8月9日には、原子爆弾による惨禍を被ることとなったが、戦後は、核兵器廃絶と世界恒久平和を訴える国際平和文化都市として世界的に重要な役割を果たしている。

そして、現在の長崎市は、100年に一度の変革の時期を迎えている。都市部を中心に様々な事業が展開し、令和3年度には出島メッセ長崎や長崎駅西口広場が完成、令和4年度には西九州新幹線の開業、令和6年度には長崎スタジアムシティが開業した。この変革の背景には、長崎市の人口減少問題が大きく関わっている。長崎市の人口減少は、他の自治体と比較しても深刻化しており、昭和60年の人口は約45万人であったが、令和7年の推計人口は、約38万5,000人と40年間で約6万5千人の人口減少となっている。これによって、行政運営の各分野において、様々な影響が懸念されており、長崎駅周辺再整備事業は、これらの問題に対する市の重要施策の一つである。

具体的には、長崎駅周辺再整備事業は、主に3つの事業が相互に関連している。1つ目は、市が事業主体となって進めている「長崎駅周辺土地区画整理事業」である。これは、予算約185億円、施行面積約19.1ha、平成21年度から令和10年度にわたって行われている区画整理事業である。

2つ目は、県が事業主体となって進めている「JR長崎本線連続立体交差事業」である。これは、予算約529億円、松山町から長崎駅までの約2.5kmの区間で、平成21年度から令和7年度にわたって行われた連続立体交差事業である。この2つの事業で、有効な土地活用が可能となったことで、駅周辺には様々な施設が整備されている。特に、令和5年に開業された駅ビルは、JR九州の中で博多駅に次ぐ2番目の規模で、高級ホテルであるマリオットホテルも併設されるなど、大変魅力的な施設となっている。また、民間企業としても、長崎市の歴史的背景や立地条件などから、駅周辺への出店に積極的であり、まさにこの事業は、官民連携で、推進出来ているとのことであった。

次に3つ目は、国が事業主体となって進めている事業予算、約6,197億円の「九州新幹線西九州ルートの整備事業」である。これによって、長崎駅から新博多駅までの所要時間が、大幅に短縮された。また、今後は、新大阪への直行運行を想定されており、更なる利便性の向上が期待されている。

これらの事業を行うにあたっては、平成21年から、まちづくりに関する地権者や周辺住民への丁寧な説明や周知が基礎となっていることが分かった。

長崎市の長崎駅周辺再整備事業は、官民連携で駅周辺の再整備に取り組む、大変参考となる事例であった。

佐賀県嬉野市「嬉野市における浄化槽整備事業について」

佐賀県嬉野市は、佐賀県の南西部に位置しており、平成18年に、旧嬉野町と旧塩田町が合併して誕生した。現在では、お茶や温泉、陶磁器、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定される「塩田津」が全国的に有名である。

今回視察した嬉野市営浄化槽整備事業は、市が個人敷地に合併処理浄化槽を設置し、維持管理をおこなうものである。対象となるのは、公共下水道と農業集落排水の区域を除く市内全域で、事業が始まる以前に個人で設置された合併処理浄化槽についても、一定の要件を満たし、市に帰属を希望する場合、市に帰属され、維持管理を行っている。

浄化槽を市が管理することのメリットは、大きく4点ある。1つ目は、維持管理の徹底による放流水質の徹底である。法定検査等で、水質に異常があった場合でも、個人管理では金銭的問題等によりすぐ対応ができないこともあるが、市が管理を行うことで速やかに対応することが可能である。

2つ目は、農山村地域の定住促進である。地方が抱える問題として、利便性の高い街中に人口が集中し、利便性の悪い農山村地域では人口が流出することで、空き家問題があるが、その中でも汚水処理設備の設置等、住みやすい住環境を市が整備することは、人口流出の抑制に寄与している。

3つ目は、災害に強いまちづくりである。日本では近年、大規模な災害が多発しており、社会インフラへの被害が甚大なものとなってきている。下水道に関しても、大規模災害の際には、管路の隆起や処理場の損傷等により、被災箇所の特定から復旧までには多くの時間や労力がかかってしまう。一方で浄化槽は、その復旧方法が特定されており、早期の復旧が可能であるため、浄化槽の早期普及は災害に強いまちづくりであると考えられている。

4つ目は、汚水処理費用の地域間格差の解消である。通常、公共下水道や農業集落排水などの集合処理区域よりも、個人で設置した浄化槽による個別処理の方が、費用が高額になってしまう傾向にある。そこで、市が浄化槽を管理し、その使用料を集合処理区域と同様の従量制とすることで、多くの市民が、住んでいる地域に関係なく、同じ料金体系で利用することができるようになっている。

一方で、現在の課題としては、維持管理費等の市の金銭的負担が増加していることである。現在の事業は、下水道使用料では維持管理費を回収出来ず、市からの補助金に依存しており、令和7年度には、使用料の改定を行ったが、それでも維持管理に必要な費用には満たない現状である。また、流入水質の性状や処理の状況を判断するためには、市職員の汚水処理に関する経験・スキルが必要であり、人材確保の面でも、課題があるとのことであった。

嬉野市における浄化槽整備事業は、地方自治体における下水処理の先進事例として、大変参考となるものであった。

長崎県諫早市「諫早市の新しい都市計画について」

諫早市は、長崎県のほぼ中央、有明海、大村湾、橘湾の3つの海に面した自然豊かなまちで、西に県都長崎市、東に自然豊かな島原半島があり、それぞれの場所に短時間で行くことができる交通の要衝となっている。

この諫早市は、長崎県の権限によって、長崎市、長与町、時津町の2市2町で構成されている長崎都市計画区域に区分されている。この区域区分制度は、道路・公園・下水道などの基盤整備についての公共投資を効率的に行いつつ、良質な市街地の形成を図る目的で、市街化区域と市街化調整区域に区分しており、いわゆる線引き制度と言われている。

しかし、諫早市における現行の土地利用制度には多数の課題があり、特に少子高齢化と、若い世代の都市部への人口流出による地域コミュニティの衰退を抑制することが、諫早市のまちづくりにおいて、大きな課題の一つである。

そこで、諫早市では、平成23年度から現在までに、長崎県からの開発許可等の権限譲渡や、市街化調整区域における段階的な規制緩和に関する取り組みを行っている。具体的には、平成23年度の「40戸連たん制度」や平成27年度の「諫早版小さな拠点」区域指定、令和2年度の「国・県道等の沿道」区域指定などが特徴的であった。

これらの取り組みによって、一定の成果は出てきているものの、市民等の更なる需要に対応していくため、諫早市では、令和4年度から「諫早市の新しい都市計画」検討委員会を開催し、令和6年5月には、この基本方針を表明している。

この基本方針の内容は主に3点である。1つ目は、都市計画区域の再編である。現在の長崎都市計画区域から離脱し、新たな(仮)諫早都市計画区域を目指している。2つ目は、区域区分の廃止である。現行の用途地域は継続しながら、市街化区域と市街化調整区域を区分する区域区分の廃止を目指す。3つ目は、補完制度の導入である。新たな都市計画区域に集約型都市構造を目指し、コンパクトで効率的なバランスあるまちづくりを推進する補完制度を導入する。また、旧市街化調整区域では、既存集落の居住、営農及び自然環境などの保全に向けて、地域の特性に応じた土地利用に転換する補完制度を導入する。このように新たな都市計画制度に応じた、開発・建築等に関する各種条例を制定することで、従来の線引き制度では難しかった、地域の特性に応じた市独自のゾーン分けを行い、地域活性化を行うものである。

市としての今後の方針は、令和8年度に新たな制度設計の検討や各種団体との合意形成を図るための取り組みを行い、令和9年度には、それをもとに、具体的な事務を進める予定である。

諫早市の新しい都市計画は、地方自治体が行う新しい形のまちづくりの一つとして、大変参考になる事例であった。

このページの内容に関するお問い合わせ先

議会事務局 議事課

〒323-8686 栃木県小山市中央町1丁目1番1号 7階

電話番号:0285-22-9462

ファクス番号:0285-24-0304

メールでお問い合わせをする

アンケート

小山市ホームページをより良いサイトにするために、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
なお、この欄からのご意見・ご感想には返信できませんのでご了承ください。

Q.このページはお役に立ちましたか?