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  • 【更新日】2025年11月19日
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建設水道常任委員会視察報告(令和8年7月21日から23日)

山形県新庄市「ICTを利用した下水道維持管理・事務の共同化について」​

1 新庄市の概要
新庄市は山形県の北東部の奥羽山地と出羽山地に囲まれた新庄盆地に位置し、総面積 222.85平方キロメートル、人口は約3万1千人である。かつては最上川の舟運により日本海側と太平洋側を結ぶ輸送拠点として栄え、現在も2本の国道や、山形新幹線・奥羽本線と陸羽東線・西線が交差する交通の要衝である。

2 ICTを利用した下水道維持管理・事務の共同化について
下水道維持管理・事務の共同化の取り組みが実施できた背景としては、歴史的に400年近く同じ圏域であったことや昭和45年度に最上広域市町村圏事務組合を設立し、消防・救急業務、ごみ・し尿処理、教育研修等の業務を共同運営していたこと、新庄市を中心に最上郡内の町村が放射状に位置していることが挙げられる。全国の中小市町村では下水道の建設事業の終了を機に、下水道部局の職員が削減され、維持管理業務等を十分に管理・監督することができない課題が散見していたことをうけ、平成12年4月に下水道事業の計画がない鮭川村を除いた7市町村で最上圏域下水道共同管理協議会を設置し、複数の処理場の維持管理を一体的に行う共同化体制を構築し、適正な維持管理業務等の維持に向けた取り組みを開始した。当時新庄市を除いた6町村は下水道終末処理場の共用がなかったため、平成13年から平成16年にかけて各町村にそれぞれ浄化センターを新設し、平成16年には新庄市浄化センターを含む7処理場すべての共用管理を開始した。

共用管理の具体的な取り組み内容としては、圏域の7つの処理場で事務作業のほか、以下の業務を共同化している。
(1)運転監視業務:中核処理場である新庄市浄化センターと周辺浄化センターをNTT光回線で結び、中核処理場にて24時間遠隔監視を行っている。基本的に24時間監視としているが、土日や夜間は携帯電話に警報通知が送られる設定となっている。
(2)水質試験業務:水質試験業務は、中核処理場に水質試験室を設け、2名体制で各処理場の水質試験を一括して行っている。周辺処理場の試料は、保守点検要員が巡回した際に採取し効率化を図っている。
(3)保守点検業務:点検班を中核処理場に置き、中核処理場では土日を除く毎日、周辺処理場は、週に2回巡回し保守点検を行っている。なお、これらの維持管理業務は、下水道処理施設維持管理会社1社に業務を委託している。

共同管理にあたる費用負担については、運転監視業務は、新庄市が66%で6町村が34%、水質試験業務は処理場数割、保守点検業務は現有施設の能力割、事務費については50%が処理場数割、50%が処理施設能力割となっている。

事業の効果として、メリットとしては新庄市・6市町村とも委託により直営部分の人件費を削減でき、監視業務についても単独で委託契約するよりも委託費を削減できている。また、新庄市は、管理棟の一部を協議会へ貸与することで、実質的な維持管理費が削減できるとともに、6町村においては、運転監視室や水質試験室の建設を省くことにより、建設費を約16%削減できた。デメリットとしては、共同化のための新たな設備投資として、新庄市は中央監視室や水質支援室の改造、6町村ではデータ転送装置の設置や遠方監視のための通信費用の増加等があげられるが、収支については、新庄市は年間2235万円の削減、6町村はそれぞれ年間1121万円削減できているという。

今後小山市や周りの市町も人口減少が想定され、併せて職員数も減少することが想定されることから、ICTを活用した下水道維持管理・事務の共同化を行っている新庄市の事例は、大変参考になるものであった。

山形県鶴岡市「空き家・空き地対策(つるおかランド・バンク)について」

1 鶴岡市の概要
鶴岡市は山形県中央西部に位置し、総面積1311.51平方キロメートル、人口は約11万3千人である。江戸時代には庄内藩の城下町として栄え、現在は県内第二の人口を有する。長年継承された在来作物や栽培法が評価され、ユネスコの食文化創造都市に認定された。

2 空き家・空き地対策(つるおかランド・バンク)について
鶴岡市は城下町時代の大きな街割りが残っており、その旧街区には狭い道路や行き止まりの道路が多くある。また積雪による車両の通行障害が発生することもあるため、車が必須な地方都市の住宅ニーズに合致しない問題もある。そこで、鶴岡市では、市で空き家対策を行っているのに加え、NPO法人つるおかランドバンクを立ち上げ、空き家や空き地、狭隘道路などを一体的に整理・活用し、賑わいのある街づくりを目指している。

まず、鶴岡市では、空き家の実態を調査するために5年に1度空き家実態調査を行っている。調査方法としては、一次調査として地図上の所在確認、二次調査として現地調査、三次調査として空き家所有者等意向調査を行っている。空き家の実態調査を定期的に実施し、前回までに実施した調査との比較、空き家の発生状況を分析等することで、住環境整備の施策の検討に役立てている。また、鶴岡市では、空き家対策を空き家等対策計画に基づき実施しており、市民の安全・安心な住環境を守るため、空き家の「適正管理」と「有効活用」を一体的に推進している。空き家を有効活用する施策としては、空き家相談会や住宅リフォーム支援事業補助金が挙げられる。空き家相談会は、平成26年度から年3回実施しており、開催案内は空き家に対する取り組み内容とともに固定資産税の納税通知に同封している。

空き家の適正管理の施策としては、危険空き家解体等補助金や空き家適正管理補助金の制度を設けている他、市が空き家等の苦情・相談に対して、現地確認や所有者調査、適正管理や有効活用の助言を行っている。また、令和元年から、空き家等に人や財産などに重大な損害を及ぼす危険な状態が発生した際は、危害を予防するため、必要最低限度の応急措置を実施している。なお、応急措置でかかった費用は所有者の負担となり、全額市から請求されるとの事であった。

次に、つるおかランドバンクは、鶴岡市をはじめ、山形県宅地建物取引協会鶴岡や司法書士、山形県建設業協会等で構成されるNPO法人である。つるおかランドバンクは、空き家バンク事業や空き家委託管理事業の他にも以下の取り組みを行っている。
(1)ランドバンクファンドによる助成事業:NPO設立時に、民間から200万円、鶴岡市から1800万円、MINTO機構から1000万円拠出し、つるおかランド・バンクファンド(3000万円)を立ち上げている。施設設備や空き地整備等の助成対象事業を随時募集しており、まちづくりへの貢献度を主に、公益度、発展性、地域性等を審査し、交付決定・助成している。
(2)空き家コンバージョン事業:空き家をシェアハウス、カフェなどに用途変更し、まちの賑わいを再生する事業であり、築約58年の空き家に対し、ニーズのマッチングやファンドによる資金助成を行い、学生向けシェアハウスへ整備した実績もある。
(3)ランドバンク事業:ランドバンク事業とは、別名小規模連鎖型区画再編事業であり、一般的な区画整備のように大規模に行うのではなく、少しずつ狭隘道路を拡張したり、狭くて再利用が難しい土地を再利用できるように変えていく事業である。実際に土地などを再編し、若者世帯が住宅建設をした例などもある。

小山市では実施していない空き家バンクの発展形となるランドバンク制度を使ったまちづくりの運用について、実例を踏まえて学ぶことのできた今回調査した鶴岡市の事例は、大変参考になるものであった。

山形県酒田市「酒田駅前地区第一種市街地再開発事業について」

1 酒田市の概要
酒田市は山形県の北西部に位置し、総面積602.98平方キロメートル、人口は約9万1千人である。平野部は庄内米が生産される豊かな穀倉地域であり、臨海部から内陸部にかけては工業団地が整備され、電子部品製造業や化学工業を中心に企業が立地している。

2 酒田駅前地区第一種市街地再開発事業について
酒田駅前地区第一種市街地再開発事業とは、市が所有している大型商業施設跡地(約6200平方メートル)と隣接する民有地(約3600平方メートル)をあわせた約1.4haの街区を対象に、公共施設(ミライニ)とともに、ホテル、バスターミナル、立体駐車場、マンションなどを一体で整備した事業である。

以前酒田駅前には大型商業施設やホテル、立体駐車場があったが、平成9年に大型商業施設が駅前から撤退したことを機に、その土地を利用した再開発が当時検討されたが、民間の事業者主体や東日本大震災の影響で二度再開発事業が中止となっている。なお、1度目の事業中止後、駅前の乱開発を防ぐために大型商業施設跡地を酒田市が公有化した。その後、酒田市議会で平成25年12月に駅周辺検討特別委員会が設置され、平成26年から酒田市主体で酒田駅前地区第一種市街地再開発事業が始まった。

事業経過としては、平成26年度に「観光起点+市民憩いの場」を駅周辺地区のまちづくりの基本理念を策定、平成27年度に民間事業者4社と対話型市場調査を実施し、3000平方メートルのライブラリーセンターを含んだ酒田コミュニケーションポート(仮称)の整備計画方針を策定した。市が図書館を選んだ理由としては、図書館は利用者の多い施設であり、民間施設との連携の相性も良いことなどが挙げられる。平成28年には、事業者選定や地権者調整、市民ニーズの把握のために、各種団体との意見交換や市民アンケートを実施した。また、平成28年12月には事業主体として個人施行者の光の湊株式会社を設立し、平成31年1月に建設物等新築工事着工、令和4年7月に酒田駅前再開発事業で行う工事がすべて完成しグランドオープンした。そして、事業の終了に伴い、令和5年1月に光の湊株式会社が解散となっている。また、再開発事業に併せ、バス停留所や酒田駅前広場も工事している。以前は駅から少し離れたところにバスターミナルがあり、その他のバス停も駅周辺に点在している状態であったが、バス停を集め、再開発地区に酒田駅前バス停留所を整備した。また、酒田駅前広場も、以前ミライニに行くためには大きくロータリーを迂回していく必要があったが、ミライニと駅舎を最短距離で結ぶため、歩道を整備した。

再開発事業の総事業費は109億7500万円であり、市で負担した金額は、再開発補助金として約18億円、保留床処分金として約26億円、公共施設管理者負担金として約1億2千万円の計46億5千万円であった。ただ、市の保留床負担金には、図書館購入に係る国からの補助金(約11億円)が含まれているため、実質負担額は約35億5千万円だったという。

再開発事業の効果としては、酒田駅前の自転車・歩行者の交通量が大幅に増加したことに加え、駅前の地価公示価格が少しずつではあるが増加していることが挙げられる。また、再開発事業を実施して終わりではなく、賑わいを創出していくために酒田駅前地区活性化協議会を作り、ミライニ内の広場を使った夏祭りや図書館内でのクリスマスイルミネーションの点灯式など様々なイベントを企画している。

小山市も過去の酒田市に近い問題を抱える中、様々な駅前再開発を実施・検討している状態であるため、酒田市の再開発事業の流れや実際に完成した建物や区域のメリット・デメリットなどを現地視察も含めて学ぶことのできた酒田市での視察は、大変参考になるものであった。

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