大阪府枚方市【議会広報(SNS)の取り組みについて】
枚方市は大阪府の北東部、河内地域に所在する中核市である。人口は約39万人であり、府内で6番目に多い。古事記や日本書紀にも登場する歴史ある街である一方、大阪市と京都市のほぼ中間という交通の利便性と多くの自然に囲まれ、「住みやすい」「住んでみたら便利」という声も多いようである。
今回は、枚方市の議会広報活動におけるSNS活用、特にInstagramの活用を中心に説明を受けた。
特徴的なことの1つ目は、議員発案でSNSを活用し始め、導入後も活発な議論でその質を高めている点である。議論の際はお互い真摯に議論し合うことで全体的なレベルを高めてきたとのことであり、導入することを目的化せず議会広報という本来の目的を共有できているからこその成果だと感じた。
2つ目は、動画を多用していることである。10秒程度のショート動画を取り入れており、議員が自身の議会質問の要点を紹介する等、内容も充実したものであった。
3つ目は、SNSの積極活用を図りつつ手堅く運用している点である。特にInstagramはややもするとフォロワー獲得に走りがちだが、「議員個人のアカウントのフォローはしない」「市議会としてきちんと一線を引く」とのことであった。また、否定的なコメントや批判的なコメントだけでなくすべてのコメントに対して基本的に返信はせず公的機関のアカウント以外はフォローしない等、危機管理もしっかりなされていた。
4つ目は、Instagram限定コーナーの導入である。内容は「議会のしくみ紹介」で、議会のしくみはあまり知られていない一方で議会広報にとって重要なテーマであり、ここでも安易に話題性のあるテーマを選ぶのではなく、本質を見据えて取り組んでいることを実感できた。
5つ目は、議会事務局職員がSNS活用に積極的に携わっている点である。5人のメンバーが担当しており、導入当初は多くの時間を費やしたが工夫を重ね、現在は担当を決めて1日1時間程度の作業量とのことであった。SNSの導入・活用自体を当初から前向きに捉えており、メンバー同士で研究しあいながら質と作業効率を高めているとのことであった。当市でSNSを導入する際の具体的な作業分担については検討中であり、働き方改革との関連や現状の事務局職員の業務量等を勘案する必要があるが、説明の際の活き活きとした姿が印象的であった。
以上、枚方市の議会広報におけるSNSの活用は、当市におけるSNS導入検討に際して大変参考となる事例であった。
三重県いなべ市【議会広報(SNS)の取り組みについて】
三重県いなべ市は三重県の最北部に位置しており、平成15年(2003年)に、当時の員弁郡北勢町・員弁町・大安町・藤原町の4町が合併して発足した。
現在は人口約4万人で太平洋セメントのほか自動車産業大手の関連企業が複数立地しており、ものづくり日本を象徴する中部圏の一角をなしている。行政サービスの質の向上に力を入れ、中でも全国的に高い評価を受けている事業を「いなべブランド」と位置づけ、先進的で品質の高いサービスを提供することで、人もまちも元気で活力あるまちを目指している。
今回は、議会広報(SNS)、特にInstagramとfacebookについて視察した。
特徴的なことの1つ目は、Instagram、X、Facebookの3種を活用している点である。一般的にXはいわゆる炎上のリスクが高いとも言われるが、特にその懸念は抱いていないようであった。3種のSNS活用にあたっては、基本的に同じ内容とすること、更新する時刻を12時~13時または17時以降とすることを決めており、今後はそれぞれのSNSの特性を活かした発信に取り組んでいきたいとのことであった。
2つ目は、発信後の動向をきちんと確認している点である。投稿後に議会事務局職員が各SNSのコメント、拡散状況を定期的に確認しているとのことであった。例としてInstagramの閲覧者を年齢別に見るとどの投稿も45~54才が中心であり、Instagramのユーザーとして最も多い若年層の閲覧を増やすことが課題であるとのことであった。
3つ目は、議会事務局職員がSNS発信に積極的に取り組んでいる点である。現在は40代の職員が主に担当しているが、投稿素材作成も重荷に感じることはなく、楽しくやっているとのことであった。また、主に議会事務局職員が取り組む理由として、議員の中にも思いの深い人はいるが全体的に見れば作成できる人が限られるため特定の議員への負担集中回避、議員改選時の入れ替わりによって情報発信が止まってしまうことの防止を挙げていた。当市でSNSを導入する際も様々な角度から検討する必要があると感じた。
4つ目は、直接的なSNS活用とは異なるが、議会広報に応募型のクイズを取り入れていることである(商品は図書カード)。電子応募も取り入れており、以前と比べて応募が倍増したとのことであった。市外在住者の応募も認めており、進学や就職等でいなべ市を離れた出身者からの応募も実際にあるとのことで、議会広報がふるさとを思い起こす役割も担っている点が印象的であった。前日に視察した枚方市でもクイズやクロスワードを取り入れており、当市でもおおいに検討の価値があると感じた。
以上、いなべ市の議会広報におけるSNSの活用は、当市におけるSNS導入検討に際して大変参考となる事例であった。