長野県茅野市【茅野市民館・茅野市美術館ついて】
1 茅野市の概要
茅野市は、長野県の中部やや東よりに位置する諏訪盆地の中央にあり、八ヶ岳連峰の裾野に広がる標高770メートルから2,899メートルに広がる自然豊かな高原都市である。人口は、約5万4,000人で市の中心市街地はJR中央線および中央自動車道で東京都心部と直結しており、関東地方からのアクセスも良好である。また、市内では、縄文時代の国宝土偶「縄文のビーナス」と「仮面の女神」が発掘されるなど古い歴史を有している。
2 茅野市民館の概要について
茅野市民館は、平成17年10月にグランドオープンした施設である。市民館としての機能だけでなく、施設内には美術館と図書館も併設されている。また、最大780席のマルチホールをはじめ、最大300席のコンサートホール、ホール公演のリハーサルも可能なアトリエ、楽器演奏も可能なスタジオ、地域の食材を楽しめるレストラン等が設置されている。立地としては、JR茅野駅直結、利用者駐車場も6か所を有するなど、利便性に優れたものとなっている。
管理運営は、平成17年当時としては珍しい指定管理者制度を導入し、市出資100%の(株)地域文化創造が指定管理を行っている。これは、茅野市民館が市民参加型の公共施設づくりとなっていることに起因している。平成11年の基本構想から始まって、設計者を選び、理想の市民館を専門家とともに設計するまで、全て市民が主導となって検討が行なわれてきた。その基本理念は、「市民一人ひとりが主人公になれる場」であり、現在の茅野市民館においても、利用者によって多様な使い道のある文化複合施設となっている。
また、建物についても、日本建築学会賞(作品)や日本建築家協会賞、グッドデザイン賞、地域創造大賞(総務大臣賞)など数多くの受賞歴がある。
3 茅野市民館の現地視察について
茅野市民館の現地視察において印象的であったのは、メインとなるマルチホールが、常設の席ではなく、可動イスをアレンジすることによって、演劇や音楽、展示、パフォーマンスをはじめとする様々なジャンルのアートに利用することができることであった。2階席の前面には、映写スクリーンを備えており、これを活用した1階だけのコンパクトな利用にも対応しているとのことであった。
また、コンサートホールは、木質をいかし、落ち着きのあるインテリアで、席数最大300席と比較的広い空間ではなかったが、音響を第一に考えて設計された音を楽しむためのホールとなっていた。
管理運営面においては、施設の基本構想から、現在に至るまで、市民が主体となっていることが分かった。特に印象的だったのは、令和6年度中に実施した、チケット販売を主とする主催事業は、マルチホールが10回、コンサートホールが2回と他のホール等と比較して、主催事業がとても少ないことであった。これは、市民が利用することを想定した管理運営を行っているためである。
一方で、施設の課題としては、開館から20年が経過した現在、様々な箇所で修繕が必要となっていることであった。約10年後には、大規模な改修が予定されているが、この修繕にかかる費用が、開館当時の建設費用の約63億円に対し、同程度になることが見込まれている。洗練されたデザインは、数多くの受賞歴がある一方で、窓ガラス1枚であっても、特注品で、交換の際には1枚数百万円の費用が掛かる等、課題もあるとのことであった。茅野市では、大規模な改修に向けて、市民とともに今後の施設あり方について、検討しているとのことである。
今後小山市に新しい中央市民会館を建設するうえで、市民や利用者が使用しやすいよう様々な工夫がされている茅野市民館は、大変参考になるものであった。