大阪府豊中市「災害対応ドローン隊KITEについて」
豊中市は、市域面積は36.6平方キロメートル、人口は令和7年10月1日時点で398,162人であり、平成24年4月1日に中核市へと移行した。大阪府の中央部北側に位置し、市の北東の千里山丘陵部、中央の豊中台地、南・西の低地部からなっている。
今回は豊中市消防局で取り入れている「災害対応ドローン隊KITE」について視察を行った。災害対応ドローンは今後発生が危惧される南海トラフ地震等の大規模地震における建物倒壊事案や、近年頻発する記録的豪雨等による建物冠水事案等における要救助者の救助・救出時間の縮減を目的に令和6年4月から運用開始された。導入したドローンは農業や測量に使用されているものであったが、飛行が安定していることや、カメラ機能がよかったため災害対応用として選定されたとのことであった。カメラ機能はサーモグラフィで熱を感知するモードや、夜間でも赤外線ではっきりと映すことができるナイトビジョンモードなど、様々な場面に対応できるものとなっていた。また、アナウンス機能も搭載されており、災害時には音声による誘導等も可能とのことであった。さらに、セーフティ機能も有しており、機体に異常があった場合にはその場でホバリングを行えることや、スタート地点に自ら戻ってくるなど落下の危険性は極めて少なく安全性にも優れている。
ドローン隊は消防職員14名、消防団4名の計18名で構成されており、隊長(警防課長1名)、操縦班長1名、情報処理班長1名、操縦班11名(うち消防団員4名)、情報処理班4名となっている。大規模又は広範囲で発生している災害はもちろんのこと、建物火災や核・生物・化学物質によるテロ又は事故などの特殊災害等、隊員の侵入が困難な場合に出動しているとのことだった。また、災害だけでなく市の関係部局とも連携し、土木部局とは橋梁点検やのり面点検、上下水道部局とは水道管点検など幅広い用途で使用されている。さらに、民間のドローンを取り扱っている業者とも協定を結んでおり、ドローン隊の到着が遅れそうな場合には、先に現場でドローンを飛行させ、状況確認をしてもらっているとのことだった。
ドローンの免許取得には費用で約40万円、期間で2か月間の研修が必要とのことだった。今後の隊員の増員については、年に1~2人の免許取得を考えており、大幅な増員というよりも、育成をしながら下の世代に受け継いでいくことを目指しているとのことだった。
座学終了後には場所を移動し、ドローンを飛行させている場面を見学させてもらった。実際に建物内を確認する様子や、アナウンス機能などを確認させてもらえたことで、よりドローン隊を要する豊中市の先進的な取り組みついて実感することができた。
小山市でもドローンの導入をした経緯があるが、活用している場面が少ないため、豊中市消防局の取り組みは大変参考になる事例であった。
大阪府枚方市「公民連携プラットフォームについて」
枚方市は、市域面積は65.12平方メートル、人口は令和7年10月1日時点で391,602人となっている。大阪府の北東部に位置し、市の西に淀川が流れ、東には緑豊かな生駒山系の山々がある。また、市内には5つの大学が所在し、21世紀の新たなまちのイメージとして「学園都市」を目指している。
今回は枚方市で取り組んでいる「公民連携プラットフォーム」について視察を行った。公民連携とは、行政と企業・大学等が双方で連携し、市民サービスの向上を目的とするものである。行政にとっては企業と連携することで専門的な知見やノウハウを活かし、市民サービスの向上やまちの課題解消を図ることができ、企業にとっては公的活動を通じた企業価値の向上やビジネスチャンスの開拓につながるなど、お互いにメリットが多いものとなっている。枚方市では令和2年9月から公民連携プラットフォームの利用が開始された。
導入に至った経緯は、大阪府をはじめ、府内自治体において企業との一元的な窓口機能を持つ自治体が増加していることを受け、設置に向けた検討を開始したとのことだった。プラットフォーム立ち上げまでには、行政と民間の価値観や取り組みに対する目標の共有や、民間との連携に向け職員がスピード感を持って取り組めるのかといった課題が挙げられていた。そのため、枚方市では公民連携の強化に向け、行政と民間の対話を重視し、公民連携のメリットの明確化することで参入意欲が高まる環境を構築することや、市全体として取り組むための組織風土の醸成に力を入れている。
枚方市は総合政策部政策推進課が一元的な窓口となっており、企業側からの自発的な提案や、ホームページ上で公開されている行政が抱える課題に対する専門的な知見を持った企業からの提案も随時受け付けている。事業が開始された令和2年度は企業からの提案数が31件、実証実験や事業化等につながった実現数は9件であったものが、令和6年度には提案数90件、実現数は22件と提案数、実現数ともに増加している。実証実験の例として令和5年度にはAI監視カメラを公園内に設置し、店頭やふらつき、急病人等の見守り、不審行動の早期発見等の効果が得られるのかといったものや、令和5年度から令和7年度にかけては8つの公共施設にデジタルサイネージを計10台設置し、市政情報を発信しながら民間広告で公費負担なく運営できるかの検証が行われているとのことだった。
導入当初は市職員の中には仕事量が多くなってしまうこと等を理由に否定的な意見があったが、近年では公民連携プラットフォームによる実証実験等を通じて成果が可視化されはじめたことで、市民サービス向上に向けた職員のモチベーションも根付きつつあるとのことだった。
小山市でもゼロカーボン・ネイチャーポジティブ推進プラットフォームなど部署ごとのプラットフォームはあるものの、一元的な窓口がないため、枚方市の取り組みは大変参考となる事例であった。
兵庫県芦屋市「公共施設の包括業務委託について」
芦屋市は、市域面積は18.57平方メートル、人口は令和7年10月1日時点で91,929人となっている。兵庫県の南東部に位置し、北には六甲の山並み、南には大阪湾に面し、気候温和な自然環境と便利な交通環境など、生活環境に恵まれた住宅都市となっている。
今回は芦屋市で取り組んでいる「公共施設の包括管理業務委託」について視察を行った。包括管理業務委託は令和元年度に開始した事業で、令和7年度現在では芦屋市所管の73施設、879業務を総括責任者として日本管財株式会社に一元的な管理を委託しているとのことだった。
芦屋市では以前、施設管理を統括する専門部署が存在せず、各施設で個別の施設管理を行っていたが、施設管理に関する経験者が減少し、結果として施設の管理・保全において施設間格差が生じていたため、施設管理の均一化と施設の長寿命化を図ることを目的として令和元年度から包括管理業務委託を導入したとのことだった。
総括責任者については、プロポーザルの際に企業側からの施設管理に対する提案を受けることや、「総括責任者等は十分な技術力、マネジメント能力、コミュニケーション能力を有しているか」という評価項目を設定し、適切であるか、経歴、保有資格、過去に従事した施設管理の実績等を確認の上、選定を行っているとのことだった。協力会社については総括責任者が選定することとなっているが、芦屋市業者登録事業者であることが条件となっており、仕様書には市内事業者等の活用に取り組むことという文言を盛り込んでいる。実際には包括管理業務委託導入以前から委託していた事業者が、協力会社として選定されているケースが多いとのことだった。
導入後は、包括管理センターを設置し、統括責任者1名、技術職員3名、事務職員1名の計5名が常駐している。施設に不具合が生じ、担当課等から連絡が来た際にはすぐに現場へ行き、対応をしているとのことだった。また、各施設の定期的な巡回や、施設の長寿命化に向けた維持管理、修繕等に係る事務処理を行うとともに、維持管理に係る更なる効率化の提案等を行っている。
導入のメリットとして(1)民間技術力の導入による各施設の安全性の向上、(2)施設管理の一元化による事務の効率化、(3)民間事業者の創意工夫による付加的なサービスの享受、(4)人件費の減少によるコスト縮減があげられる。また、デメリットとして包括管理センターに依存してしまうことによる施設管理に関する職員のノウハウの低下が挙げられるが、芦屋市では年1回の施設管理者、担当者向けの研修を実施し、包括管理業務委託を行う中でも、一定の知識を職員が持てるような工夫をしているとのことだった。
小山市でもたびたび公共施設の老朽化や修繕について話題に上がるため、芦屋市の取り組みは大変参考となる事例であった。