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教育経済常任委員会視察報告(令和4年10月3日から5日)

印刷用ページを表示する更新日:2022年11月16日更新 <外部リンク>

愛知県新城市「農業の担い手の確保について」​

 新城市は、愛知県の東部に位置し、東は静岡県に接している。総面積は499.23平方キロメートル、人口は約4万4千人であり、市域の84パーセントは三河山間部を形成する豊かな緑に覆われ、東三河一帯の水源の役割を果たしている。

1 新規就農者確保の取り組みの経緯

 新城市では、農業者の高齢化・後継者不足により年々農業人口が減少しており、地元の後継者だけでは産地を維持できなくなっている。地域外から農業人口の流入を図り、雇用を創出する必要に迫られていることから、平成24年に「新城市担い手確保育成総合支援計画」を策定し、新規就農者の受け入れを図ってきた。

2 新規就農希望者の受け入れから就農までの流れ

 新規就農者の支援については、新城市、新城市農業委員会、JA愛知東、農林業公社しんしろ、愛知県新城設楽農林水産事務所の関係機関が連携・役割分担し、市内外から新規就農希望者を受け入れ、研修から就農定着まできめ細かな伴走支援を実施している。なお、対象者は就農予定時に50歳未満の方としている。

 受入れ決定までのおおまかな流れは、はじめに新規就農希望者から新規就農相談カードにより相談を受け、現地案内、説明会等を行い就農イメージをつかんでもらう。その後、新規就農受入認定申請書が提出された際は、新城市新規就農者受入支援審査会等を開催し、適正を厳しく見定めた上で受入者の決定を行う。

 受け入れ決定後の支援の流れは、はじめに農業公社しんしろの研修生登録を行い、公社が研修農家の紹介や住居の斡旋を行い、研修を開始する。また、就農計画書の作成のサポートおよび審査・認定を行い、機械・資材の導入や青年等就農資金の借り受け手続き、農地取得・貸借手続き等のサポートを行う。研修課程が修了し、就農した後は、随時営農状況等を確認し、栽培指導や経営指導、補助・資金確保支援等を行うとともに、人材確保や農機具レンタルのサポートを行う。

 そのほか、新規就農者の定着促進のため、新城市では新規就農者の集いを開催して生産者同士の交流を促進している。また、新規就農者の労働力不足の不安を解消するため、シルバー人材センターの会員を「しんしろ援農隊員」として登録し、すぐに派遣できる体制を整備している。

3 その他の取り組み

 新城市では、農業に興味のある方や定年退職者等の就農を促し、市内の遊休農地解消を図るため、各種講義や栽培実習、機械実習等を1年を通じて行う「しんしろ農業塾」を開催している。卒業後には小規模農家として就農し、産直出荷することができる仕組みとなっており、卒業生にはトラクター等の機械貸し出しや遊休農地の紹介を行っている。

4 新規就農者確保の課題

 新規就農者確保を推進するにあたり、ハウス建設に適した農地の確保や、常時雇用であるパート労働者の確保、施設整備における補助金の確保や、イベント参加・開催等に係る財源の確保が課題となっているという。また、移住者には地域の活力となることも期待しているが、地域活動に参加しない方もいることが課題となっているという。

5 視察を終えて

 新城市の農業の担い手確保の取り組みは、農地の取得や栽培、出荷などの一連の指導・支援に加え、就農後も定着促進のための支援を行っていることが特徴的であった。そのような取り組みの結果、平成24年から令和4年までの新規就農者は、研修中の方を含め30名となっており、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県といった県外からの転入者は、家族を含め38名になるという。農業者の高齢化や後継者不足は小山市においても課題となっていることから、新城市の取り組み事例は大変参考になるものであった。

岐阜県岐阜市「ICT・情報教育について」

 岐阜市は、岐阜県の南西部に位置し、総面積は203.60平方キロメートル、人口は約40万5千人である。市内中心部には長良川が流れ、岐阜城がある金華山がそびえる。産業は繊維や機械、金属製品等の製造業が中心で、アパレルの産地として知られる。

1 岐阜市GIGAスクール推進計画について

 岐阜市は、デジタル・シティズンシップ教育と教育DXの概念に基づき、「岐阜市GIGAスクール推進計画」を令和4年に策定した。同計画の5つの基本方針である「誰一人取り残さない個別最適な学び・協働的な学びの充実」、「教職員の働き方改革」、「児童生徒の健康面の配慮」、「デジタル環境の最適化」、「デジタル人材の育成」に沿い、さまざまな施策をオール岐阜市学校体制で計画的に推進している。

2 岐阜市のICT・情報教育の取り組み事例

(1)タブレットを活用したデジタルドリルの導入

 岐阜市では、タブレットを活用したデジタルドリルを導入しており、授業のみならず、宿題のデジタル配信や、不登校や別室登校の児童生徒の学習にも活用している。デジタルドリルは、分からない時は5分程度の講義動画を視聴して学び直すことができ、理解度に応じて前の学年の動画を視聴することもできる。

 小中学生に行った調査では、90%以上の児童生徒がデジタルドリルをわかりやすいと評価しており、宿題の配信がない時でも、自主学習に活用している児童生徒もいるという。

 また、デジタルドリルは、教師が児童生徒の理解度や進捗状況を確認することができ、授業の改善にも役立っているという。

(2)スマート連絡帳の導入

 岐阜市ではスマート連絡帳を導入しており、保護者は児童生徒の欠席や遅刻の連絡をスマートフォンで行うことができる。また、学校からのお便りを保護者のスマートフォンにデジタル配信することができ、重要な連絡事項を確実に保護者に届けることができる。これらにより保護者および教職員の負担が軽減され、保護者からも好評を得ているという。

(3)デジタル・シティズンシップ教育の推進

 岐阜市は岐阜聖徳学園大学および岐阜聖徳学園大学短期大学部と連携協定を結び、デジタル・シティズンシップ教育を推進している。取り組みの例としては、児童生徒の思考を止めないよう、タブレットの活用ルールを禁止系で定めるのではなく、「タブレットを落とした時は電源が入るか確認しましょう」のように、具体的な対応方法を示すものに改め、周知したという。また、同大学の学生には、タブレット設定作業の支援や、児童がタブレットを使用する際に隣についてもらうなどの協力を得ているという。

3 ICT・情報教育推進の今後の課題

 岐阜市では、毎月数パーセントの児童生徒にタブレットの過度な使用が見られ、健康面への影響を懸念しているという。その対策として、該当する児童生徒には、面談や聞き取りによりタブレットの使い方を確認したうえで、繰り返し指導を行っている。また、タブレットの通信料が一定量を超えた場合は、画面にメッセージが表示されるようにしたほか、さらなる対策も検討しているという。

4 視察を終えて

 岐阜市では、ICTを児童生徒の学習のみならず、保護者や教職員の負担軽減にも活用している点や、地域の大学と連携してデジタル・シティズンシップ教育を推進している点が特徴的であった。

 小中学校においては、令和6年度にデジタル教科書の導入が予定されているなど、ICTの活用がますます拡大していく中、ICTの善き使い手を育む教育の重要性が増していくと考えられる。岐阜市の先進的な取り組み事例は大変参考になるものであった。

愛知県刈谷市「刈谷市総合文化センターについて」

 刈谷市は愛知県のほぼ中央に位置し、総面積は50.39平方キロメートル、人口は約15万2千人である。トヨタグループ発祥の地であり、現在も主要グループ企業の本社や自動車関連企業が集積している。財政力指数は全国有数である。

1 刈谷市総合文化センターの概要

 刈谷市総合文化センターは、大小2つのホールを備えた「市民ホール」と「中央生涯学習センター」からなる複合施設である。規模は地下1階、地上5階建てで、延床面積は22,767.10平方メートルであり、建物の2階が刈谷駅連絡デッキに接続された駅直結の施設である。

2 刈谷市総合文化センターを整備した経緯

 刈谷市総合文化センターは、市街地再開発事業として整備されたもので、同事業の施行者である都市再生機構(UR)が整備した施設を市が購入する形式であった。整備の背景には、市民が憩う空間や、まちの活気が感じられる場所、旧市民会館に代わるホールの整備を望む市民の声があったという。昭和58年に用地取得を行った後、市民ホール構想の策定や市民意識調査、市民団体や障がい者団体等への意見聴取等を経て、平成19年1月に工事に着手し、平成22年4月に開館した。

 整備の費用は、施設の土地(駐車場を含む)・建物の譲渡額が約151億8千万円で、そのほか、備品の購入に約4億7千万円を要したという。

3 刈谷市総合文化センターの特徴

 2階の大ホールは、プロセニアム形式の多目的ホールとなっており、客席数は1階と2階を合わせて1541席である。大型プロジェクターや映像スクリーンを備えており、演劇やコンサートのほか、講演会や式典等にも利用することができる。また、大ホール付近のトイレは、混雑防止のため、導線が一方通行になるように設計されている。

 1階の小ホールは、アダプタブル形式の多目的ホールとなっており、客席数は282席である。客席は階段状になっているが、すべて収納してフラット仕様にすることができ、講演会やセミナーのほか、パーティーなどにも利用することができる。

 そのほか、地下1階は遮音構造の練習ゾーンとなっており、リハーサル室や音楽スタジオなど7部屋を備えている。1階には展示ギャラリー3部屋、3階には調理実習室や陶芸室など5部屋、4階には研修室8部屋、5階には講座室5部屋を備えている。

 また、刈谷市総合文化センターは、障がい当事者団体等からの意見を盛り込み設計されたバリアフリーとなっている。加えて、床や壁が弱視の方にも認識しやすい配色になっているなど、さまざまなところにユニバーサルデザインを取り入れている。

4 視察を終えて

 客席が収納でき、多様な使い方ができる小ホールや、各所に導入されたユニバーサルデザインが印象的であった。また、現地視察の際には、エレベーターの幅が狭く楽器等の搬入時に不便であるなど、施設を実際に使用する中で不都合に感じる点についても率直にご教示いただいた。

 小山市では昭和53年に建設された小山市中央市民会館の老朽化が進んでおり、現在、耐震補強と建て替えの両面から検討を行っていることから、刈谷市総合文化センターの整備事例は大変参考になるものであった。