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  • 【更新日】2021年11月16日
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教育経済常任委員会視察報告(令和元年10月3日から5日)

滋賀県米原市「給付型奨学金制度について」

米原市は滋賀県の東北部に位置し人口約4万人であり、西に琵琶湖、北に伊吹山を有する自然豊かな市である一方、滋賀県唯一の新幹線の駅を有するほか、JR東海・西日本及び近江鉄道が乗り入れ、また、名神高速道路・北陸自動車道のインターチェンジも立地するなど、近畿エリアにおける交通の要衝となっている。

米原市の人口は2000年に約4万1千人であったが、それ以来減少局面を迎え、現在は4万人の大台を割り込んでいるとのことであった。近隣の長浜市からの転入がある一方で、米原市民が結婚、自宅購入を契機に彦根市等に転出する傾向が強く人口減少に歯止めがかからないという問題を抱えている。

そこで、生産年齢人口の流出抑制と転入促進、及び教育を受ける機会の均等化を目的として、「給付型奨学金」の制度が創設された。

給付対象者には、市内に一定期間以上居住していること、大学等を卒業後、市内に定住する意思がある等の要件を満たしたうえで、奨学金の給付審査会の審査において、世帯の経済状況等を勘案し、奨学金給付の認定をしているとのことであった。

給付の審査にあたっては、給付申請書に米原市の定住への思いを書いてもらうことで定住の意思を担保していること、及び、家族構成や、通学方法の別を考慮した独自の家計基準算定方式を用いることで、世帯ごとの事情に応じ、かつ公正な選定をしていることが見て取れた。

給付額は、月額3万円、年額36万円を4年間で最大144万円となり、これを市税及び、地域内での消費等でペイできる期間を6年間と試算し、これを卒業後の定住要件としたとのことであった(要件に満たない部分は返還となる)。

奨学金を貸与型でなく、全国的にも珍しい給付型とした理由については、意欲・能力ある若者の将来を応援し、優秀な人材を育成するための未来への投資であり、そのため、財源についても一般財源から拠出しているとのことであり、通常の貸与型の奨学金と比較して、政策的な意味合いの強いものであると感じた。

小山市にとっても、近い将来の人口減少局面は避けられないものであり、教育を受ける機会の確保、有用な人材の確保及び定住の促進等の多くの観点から有効な施策であり、大変参考となる事例であった。

大阪府池田市「英語教育推進事業について」

池田市は、大阪府の北西部に位置し人口約10万人であり、梅田駅から電車で約20分の距離にある住宅都市である一方、ダイハツ本社があり自動車関連企業が数多く立地している。平成30年にはNHKの朝ドラマ「まんぷく」の舞台となり、インスタントラーメン発祥の地として取り上げられた地でもある。

池田市の教育は、教育日本一を目指し、平成24年4月に策定された「池田市教育ビジョン」に基づき、「小中一貫教育の推進」「幼児教育の充実」「ICT教育の充実」「在日外国人児童生徒支援の充実」「英語教育の充実」の五つを主な取り組みとし、本年度は同ビジョンの第2期プラン最終年度となる。

英語教育の充実のために、「教育特例校制度」を活用した小学校低学年での英語活動、「英語専科教員」の配置、教員の海外派遣研修、外国人英語講師(ALT)の配置等の取り組みを進めていると共に、平成29年度に全小中学校・義務教育学校の普通教室に65型電子黒板、併せて各校40台のタブレット端末を整備し、これらを組み合わせて使用することで、教材の拡大提示や、デジタル教科書の提示、児童生徒の作品や成果物の提示・共有が図れるなど、新しい授業スタイルの展開が可能となったとのことである。

これらの主にハード面の取り組みに加え、平成28年度から順次、(株)ベネッセが提供する外部英語検定「GTEC」の導入、オンライン英会話トレーニング、小学生英語教室の開講等の事業を展開しており、教育日本一を目指すに相応しく予算をかけて取り組んでいると感じた。

英語教育に関する取り組みの効果検証として活用しているのが、先述の「GTEC」であり、これは英検の「読む」「書く」「聞く」に加え、「話す」も加えた4技能をバランスよく育成することを主眼に置いたもので、新学習指導要領や、高校・大学入試問題の内容変更を見据えたものである。平成30年度の「GTEC」結果によると、小学生については、4技能すべて全国平均を上回り、中学生については、英検3級程度の英語力を有する生徒の割合は64パーセントを超え、国の目標を上回っているとのことで、取り組みに対する高い効果を実感することができた。

急速に進展するグローバル化の中で、「おやま英語教育のまち子ども宣言」をした小山市においても、新学習指導要領に沿った実践的な英語力を持った子どもの育成をしている池田市の取り組みは、大変参考になるものであった。

大阪府東大阪市「中小企業振興条例について」

東大阪市は人口約50万人で、大阪府、河内平野のほぼ中央部に位置し、西は大阪市、東は生駒山地で奈良県と隣接している。日本最古のラグビー専用グラウンドである花園ラグビー場のある「ラグビーのまち」及び高度な技術を持つ中小企業が多く、「モノづくりのまち」として広く日本全国に知られている。

今回の視察では「中小企業振興条例」及び、中小企業振興に関する諸施策について学んできた。

高度な技術力を持つ中小企業が多く集積し、工場数が全国屈指の東大阪市にとって、中小企業の振興は市政の最重要施策であり、その推進のために平成25年「中小企業振興条例」が施行された。

本条例制定前も中小企業振興は重要施策であったが、条例制定することにより、法的根拠及び、はっきりした理念をもって各種事業にあたることができ、加えて、逐条解説も作成することで広く東大阪市民に本条例の理念を知らしめることができるようになったとのことである。

中小企業振興施策として、近年、廃業や事業所の海外移転等による事業所集積地区の空洞化に伴って、その跡地が宅地開発されることで、良好な操業環境及び住環境が阻害されてしまう問題が生じており、その対策として、工場移転や騒音対策等に補助金を交付する「住工共生のまちづくり」の取り組みは、東大阪市の地域経済を支える中小企業を応援するうえで大変重要であると感じた。

その他にも、様々な中小企業支援策を講じており、その結果成功した企業が大都市に出て行ってしまうこともあるなど、思わぬ弊害も一部出ているとのことであったが、数多い支援策により、東大阪市の経済活性化に大いに寄与しているものであった。

小山市も市内に10か所もの工業団地を有する工業都市であり、人と企業を呼び込む施策の更なる推進のためにも、東大阪市の取り組みは大変参考になるものであった。

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