日頃より、私たちの生活の一部として用いられ、伝統的な技法により作られてきた品々・・・。
小山市には、そんな誇れる伝統工芸品が5品目あります。
結城紬(ゆうきつむぎ)
結城紬
結城紬は、小山市のほか、下野市や茨城県結城市などで生産されている高級絹織物です。小山市では、市の東部、鬼怒川に面した地域を中心に生産され、そこはかつて桑村・絹村と呼ばれたように、養蚕の盛んな地域でありました。
すべて手作業による工程を経て完成される結城紬は、昭和31年国の重要無形文化財に指定されましたが、数ある工程のうち、(1)真綿から手で糸をつむぐ、(2)絣の模様をつける場合は手くびり(くくり)で行う、(3)地機(じばた)で織る、という3つの工程を経たものが、重要無形文化財の指定要件とされています。
さらに、平成22年11月16日には、高い技術が世界的にも評価され、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されました。
袖を通すほどに深まる味わいは、まさに本物の手作りの証であり、その柔らかな風合いと独特の渋みは、いつまでも飽きのこない上品な雰囲気を漂わせています
主な生産者組合・団体など
- 栃木県本場結城紬織物協同組合
住所
小山市福良2358番地
電話番号
0285‐49‐2430
指定
昭和31年4月24日
国重要無形文化財に指定される。
昭和52年3月30日
伝統的工芸品産業振興協会の伝統的工芸品に指定される。
昭和61年5月2日
栃木県の伝統工芸品に指定される。
平成22年11月16日
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載される。
本場結城紬織機(地機)(じばた)
地機
素晴らしい結城紬を織り上げるために必要とされるのは、上質の真綿と、腕のいい織り子と、そして丈夫で使いやすい機織り機です。
結城紬で使われている地機は、千数百年も昔のまま変わることなく、今日に至ります。
現在では数少なくなってしまった地機作りの職人。
結城紬の生産における後継者の減少や、織機は通常30年以上持つということから需要が少なく、市内で地機作りをしている人も年々減ってきているのが現状です。
主な生産者組合・団体など
- 仁平忠
指定
平成6年5月24日
栃木県の伝統工芸品に指定される。
間々田紐(ままだひも)
間々田紐2
奈良時代に中国から伝来した組紐は、鎌倉時代以降、刀の下げ緒や兜の紐として愛用されるようになりました。
間々田紐は日本の歴史と伝統を受け継いだ江戸系の組紐に、戦後間々田の渡辺浅市が創意工夫を加え創案しました。
草木染めならではの落ち着いた色合いが魅力で、手で丹念に組みあげてつくるので使い心地もよく、帯締めや羽織ひもに最適と、東京や京都で人気を得ています。
主な生産者組合・団体など
- 渡邉悦子
- 渡邉靖久
- 石田久美子
指定
平成13年9月19日
栃木県の伝統工芸品に指定される。
家紋帳箪笥・ダルマ戸棚(かもんちょうたんす・だるまとだな)
家紋帳箪笥
家紋帳箪笥はその昔、帳場(旅館や商店の勘定場)で使われていた箪笥で、扉に2つの家紋が入っているのが特徴の一つです。
ダルマ戸棚は、オリジナルのデザインで、発祥はよく分かっていませんが、ダルマを飾るため、または職人がダルマを作る過程で使った戸棚、という説と、戸棚の形が上下にくびれているため外観がダルマに似ているから、という説があります。
いずれにせよ、しっくりと手に馴染む使いやすさと美しい木目と素朴な香りは、それぞれの家に安らぎを運んでいきます。
主な生産者組合・団体など
- 春山信行
- 春山勇美
指定
昭和61年5月2日
栃木県の伝統工芸品に指定される。
下野しぼり(しもつけしぼり)
下野しぼり
奈良時代に弓削道鏡によって、下野の国に伝えられたといわれております。
しぼり紙は「悪をしぼり出す」と言われていますから、伝授の折には信仰的な意味も含まれていたことでしょう。
紙衣(紙で作られた衣服)や髢(かもじ:そえがみ)の材料としてもてはやされておりましたが、時代の流れと共に廃れてしまい、いまでは諏訪重雄氏から一子相伝で受け継いだ諏訪ちひろさんだけが、その技法を守り制作しております。
下野人形(しもつけひとがた)は下野しぼりを使用した代表的なものです。
主な生産者組合・団体など
- 諏訪ちひろ
指定
平成18年4月26日
栃木県の伝統工芸品に指定される。