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  • 【更新日】2021年11月16日
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総務常任委員会視察報告(令和元年11月11日から3日)

愛媛県西条市「防災対策(防災アプリさいじょう等)について」

西条市は、人口約105,020人、面積509.98平方キロメートルの愛媛県の東予地方に位置している市であり、2004年11月に旧西条市、東予市、周桑郡小松町及び丹原町が合併して現在の形となった。石鎚山の麓に位置し、国の名水百選にも選ばれた「うちぬき」という地下水や「生きた化石」として知られ、愛媛県の天然記念物でもあるカブトガニ、そして伊曽乃神社、嘉母神社、石岡神社、飯積神社の4か所の神社の例祭を総称した西条まつりなどで有名である。

このような西条市であるが、四国を横断する中央構造線、御荷鉾構造線、そして仏像構造線のうち最も北側に位置する中央構造線の上に位置しており、土砂災害等の災害が想定される地域でもある。また、平成16年には台風により死者5名・災害復旧額170億円という損害が発生しており、この先も南海トラフ地震や川上・小松断層による地震により非常に大きな被害が出ると予測されているなど、台風等による水害や巨大地震とそれに伴う津波に対し大きな警戒が必要とされている地域である。

そのため、西条市においては平成16年の台風災害や今後の巨大地震を想定し、災害に強い「自治防災都市」を目指すとして、数々の取り組みを行っている。基本的には「死ぬな 逃げろ 助けろ」を基本方針に、市民全員が参加し、災害弱者が助かる仕組み、地域の防災文化の共有など市民主体の災害に強い地域社会をつくるとしている。市としては自主防災地域・コミュニティ育成事業として「お祭り防災」として伝統行事である祭りを核として地域ネットワークの強化や、防災士育成事業による防災の説明員の確保などを行っている。
ちなみに防災士養成事業であるが、防災士の養成にかかる費用約5万5千円を市が全額負担するというものであり、平成17年から20年までの期間で545名もの防災士を養成しており、今後も240名の育成を予定しているとのことである。ほかにも災害に強い地域社会つくりへの取り組みとして、自主防災組織の育成や防災士のフォローアップ研修の毎年の実施などを行っている。

また、これからの西条市を担うことになる子ども達への防災教育にも西条市は力を入れており、12歳となる小学6年生の児童への防災教育(具体的には防災体験や子ども防災キャンプ、平成16年の台風災害とそこからの復興、その後の防災事業の過程についてまとめた冊子『30年後の君たちへ』の作成・配布など)を通し、確かな社会性を身につけさせる等若者の育成、さらには家庭での防災意識の向上を図る事業も行っている。

表題にもある「防災アプリさいじょう」も平成26・27年度に整備された防災通信システムの1つである河川監視カメラの映像などの防災情報を市民と共有することを目的に整備されたものであり、地元のローカル局により運営されている。

平成16年の台風災害という前例、そして南海トラフ地震という具体的かつ差し迫った危機が存在することもあってか、防災対策は非常に具体的かつ充実したものとなっており、小山市においても参考となる部分は非常に多いものであると感じられる。

愛媛県新居浜市「総合防災拠点施設およびコミュニティFMについて」

愛媛県新居浜市は、人口は119,048人、面積は234,50平方キロメートルの市であり、かつては別子銅山とそこから産出する銅により潤い、その後は別子銅山を経営していた住友グループと関連企業により発展を遂げ、今なお「工都・新居浜」として有名である。

初日に視察した西条市と同じく愛媛県の東予地方に位置する市であり、そのため西条市と同様に南海トラフ地震や台風などの災害リスクも持っており、愛媛県の調査から出された想定では死者は約1,800人、全壊となる建物は約35,000棟、1か月後の避難者数は約81,000人に及ぶとされている。

今回の視察目的の1つである新居浜市総合防災拠点施設は新居浜市役所庁舎のすぐ隣に開設される予定であり、供用開始となるのは令和2年の2月末から3月とのことだったが、今回視察に訪れた時点ではほぼ建築物自体は完成している状況であり、拠点施設の1階部分には消防車など緊急車両が駐車しているのが確認できた。かつてはその場所には郷土美術館と北消防署旧庁舎が位置していたが、前者が建設されたのは昭和27年4月、後者は昭和34年5月とかなりの年数が経過しており老朽化が著しく、後者に至っては平成24年度の耐震診断において不適合の判定を下されたため、当時消防庁舎も狭隘化していたこともあり、両者を取り壊したうえで総合防災拠点施設を新築することとなったという経緯がある。

建設事業費は合計約60億2千万円であり、その3分の2弱であるおよそ38億円が緊急防災・減災事業債と防災対策事業債を財源としている。残りは一般単独債、施設整備債、そして拠点施設4階に入居予定である水道局からの負担金(上下水道公益料)、一般財源が財源となっており、国や県からの補助金は0となっているという。

この総合防災拠点施設の設置により、災害対策本部機能、消防本部機能、上下水道機能が集約化され、さらにそれにあわせて危機管理部門を創設するなど組織機構も見直すことにより、消防・災害活動の初動体制の迅速化や緊急時の消防援助隊の受け入れ体制の円滑化、消毒室整備などによる感染防止対策の強化、さらには防災センターも施設内に設置することにより、防災情報の提供・展示および災害体験による防災教育機能の充実もなされることになる。
さらに拠点施設は新築にあたり免震装置やライフラインの二重化構造を採用するなど有事の際にも拠点としての機能を喪失せず稼働可能なように設計されている。

もう1つの視察項目であるコミュニティFMについてであるが、新居浜市には小山市と同様に「新居浜FM78.0」というFMラジオ局が存在しており、有事の際には災害情報等の伝達手段としても活用される事業となっている。運営は新居浜市及び西条市を放送範囲とするハートネットワーク社というケーブルテレビに委託しているとのことである。

なお市としての事業であるが、コミュニティFMそのものだけでなく、地域コミュニティの形成と、災害に強いまちづくり推進のため、普及促進事業も新居浜市民がコミュニティFMラジオ受信機器(普通のラジオ受信機としての利用も可能だが、緊急地震速報や市からの避難勧告等重要情報の放送時には電源が確保されていれば自動で起動して流れるという特徴がある)を購入する際、費用の3分の2を補助するという形で行っている。
なお、コミュニティFMの開設は平成30年4月とかなり新しい事業であるが、同年には台風接近時に避難勧告を放送するなどしており、既に災害情報放送という面においても実績がある事業となっている。ただし課題がないわけではなく、現状の課題としては、新居浜市の山がちな地形の影響によりラジオを視聴可能な範囲が限られてしまっているという点が挙げられるとのことである。

総合防災拠点施設については有事の際に有用と思われる施設整備と、ただ施設を整えるだけではなく住民の学びや意識改革にも繋げるような施設整備について、そしてコミュニティFMについては有事の際の広報手段としてのラジオとその普及手段について学ぶことができた。これらは小山市においても参考になるものになると考えられる。

愛媛県松山市「選挙コンシェルジュについて」

愛媛県松山市は人口509,251人、面積は429.40平方キロメートルであり、愛媛県庁の所在地であり、愛媛県のみならず四国地方最大の都市でもあり、中核市に指定もされている市である。松山城を中心に発展した旧城下町であるとともに、道後温泉のある温泉地でもあり、夏目漱石の『坊っちゃん』や司馬遼太郎の『坂の上の雲』などの小説でも有名である。

松山市は選挙における投票率向上のため様々な取り組みを行っており、代表的なものが市民参画型の啓発である「選挙コンシェルジュ」である。選挙啓発に熱意のある個人の集まりであり、選挙啓発イベントの企画立案や実施の統括・補助を主体的に行うことを役割としている。もともとは平成26年2月ごろに4人の学生から始まったものであったが、現在ではおよそ30人の学生(高校生、大学生、専門学校生)から構成されている。なお、選挙コンシェルジュは学生であるのが条件であるため、卒業すると引退という形となっている。

近年の活動としては、松山市内の大学に通う、松山市民でない学生に対し棄権理由を松山市選挙管理委員会が調査した結果、回答の90%が「住民票が松山市になく松山市では投票できなかったため」というものであったことを受け、入学式のシーズンに住民票の移動を啓発するチラシの配布などを行っている。
またそれ以外にも保育園では園の購入するおもちゃを決める「おもちゃ選挙」を、小中学校や高校などでは生徒会の選挙を通じた主権者教育を行ったり、夏目漱石の『坊っちゃん』の主要登場人物である「坊っちゃん」「マドンナ」の仮装や着ぐるみを着用したうえでの街頭啓発や、大学食堂のテーブルや割りばし袋などに選挙の啓発チラシやメッセージを配置することや、電車内の中吊り広告や駅構内等のディスプレイなどに啓発広告を出すなどの活動を行っている。
なお、前述の啓発チラシ等のデザインであるが、これは専門業者等に委託したものではなく、選挙コンシェルジュに所属する専門学校生らが自分たちでデザインしたものを使用しているとのことである。

なお、選挙コンシェルジュの身分であるが、有償ボランティアという位置づけとなっており、報酬として1時間あたり1,115円(令和元年11月現在)を支給されているとのことである。ただし、選挙の多い年の年度末など、予算がなくなった場合には無償で活動することもあるとのことである。また、高校生は校則にアルバイト禁止規則があるため予算の残額に関わらず無償での活動になるとのことである。

現状の課題としては、どうしても主体的に動けるメンバーが固定化されてしまうこと、そしてメンバーはどうしても3、4年という比較的短いスパンで引退してしまうため、どのようにして啓発活動等のノウハウを引き継いでいくかということが挙げられた。なお、後者については現在選挙コンシェルジュOBを交えた研修合宿を行うことを検討しているとのことである。

また、選挙コンシェルジュ以外の選挙啓発協力者としては、「選挙クルー」が挙げられる。選挙クルーは松山市の投票率向上プランに賛同している団体であり、選挙コンシェルジュや選挙管理委員会とともにそれぞれの強みやネットワークを活用した啓発規格の立案・補助、主権者教育などを行っている。具体的な協力団体としては市内の高校の放送部や、学園祭の実行委員会、ボランティアサークルなどであり、現在6団体が登録されている。

これら選挙コンシェルジュ等の協力者による取り組みや、大学構内への期日前投票所の設置などのような市の取り組みにより、松山市においては20代前半の有権者の投票率が平成22年参議院議員選挙では26.52%であったのが平成25年参院選には29.24%に、平成28年参院選においては30.74%に上昇するという実績を出している(ただし令和元年参院選においては同年4月に地方統一選挙があり参院選対策に割ける時間が十分になかったためか、25.52%となった)。

これらの活動は近年投票率が下落続きである小山市にとっておおいに参考になるものと思われる。

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