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  • 【更新日】2021年11月15日
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建設水道常任委員会視察報告(令和元年10月2日から4日)

兵庫県赤穂市「空き家対策事業について」

兵庫県赤穂市は、兵庫県の南西部に位置し、西は岡山県の県境に接している。気候は一年を通して温暖であり、瀬戸内海と千種川の自然に恵まれ、赤穂義士と赤穂塩で全国的に知られるまちであるが、近年は人口が減少し現在4万7千人あまりとなっている。

今回の視察項目である「空き家対策事業」について、赤穂市では、人口減少社会の進展に伴い空き家問題が深刻化し、平成24年ごろから空き家に対する苦情等が発生し始めたことから、庁内プロジェクトチーム「空家等対策計画検討委員会」で検討を行い、学識経験者等で組織する「赤穂市空家等対策協議会」での議論を経て平成30年3月に「赤穂市空家等対策計画」を策定した。平成28年に行った空家等実態調査によれば、空き家件数は1258件で空家率は4.07%となり、市街化調整区域で高い空き家率となっており、空家等対策計画において

  1. 空家化の予防
  2. 流通・活用の促進
  3. 所有者等による適正管理の促進
  4. 特定空家等の解消を基本的な方針

と定め、それぞれに対応した様々な施策を全庁的に展開している。

特徴的な施策として挙げられるのが、まず、『あこうの空家手帖』であり、身近な問題としての空家について、相続の発生等により誰でも空家の所有者となりうることを解説することから始まり、空家の管理の仕方や空家の活用・処分等にいたるまで、利用できる制度や問い合わせ先を網羅した一冊のパンフレットとなっている。手帖は、市役所の窓口や地区公民館で配布しているが、手帖持参で空家の相談に訪れる市民もおり好評であることから、令和元年度は全戸配布を予定しているとのことであった。また、シルバー人材センターによる空家管理サービスについても先進的な取り組みであり、1回2,700円で建物の外側から空家・庭等に問題がないかを目視確認し、写真付きの報告書を送付するというもので、空家の所有者が離れた場所にいても現状を確認することが可能となっており、料金別途のオプション作業として植木剪定や草抜き、庭の清掃も行っているとのことであった。

種々の施策についての説明を受けて、委員から質疑が行われ、空家発生の理由の割合を問う質疑に対し、所有者の死亡による相続発生が30%、転居・転勤等によるものが20%、以下病院や施設への入所等の理由が続きますとの回答があった。また、空家等の適正管理に関する条例に基づいた自治会からの空家に関する情報提供の件数を問う質疑に対して、平成26年度からの累計で74件の通報があり、内53件について市から指導を行い、30件について解決につながったところですとの回答があった。

今回説明を受けた種々の施策については、小山市においてもたいへん参考になるものであった。担当者も話していた通り、死亡による相続等がある以上空家は必ず発生してしまうものなので、管理不全になるまえにいかに早く空家の方向性を決めるかが肝要であり、行政が、その手助けとなるよう空家手帖のような空き家についての知識・対策が網羅された手引きを示すということはとても効果的であると感じた。また、今後も増加する空家の管理に関して、シルバー人材センターによる空家管理サービスのような、民間を活用したサービス導入の必要性も強く感じた。

兵庫県姫路市「姫路駅周辺整備(北駅前広場)について」

兵庫県姫路市は、兵庫県南西部に広がる播磨平野のほぼ中央に位置し、世界文化遺産・国宝姫路城や姫路駅を中心として市街地が広がる人口約54万人の中核市である。今回は、開発・再開発が進むJR小山駅周辺整備の参考とすべく、多くの市民や世界から訪れる観光客で賑わうJR姫路駅北駅前広場整備について視察を行った。

当該事業については平成20年に都市計画決定を行ったが、計画に対して各種団体から異なる提案が出されたことから、市民団体や交通事業者、広場の権利関係者、行政機関で構成する「姫路駅北駅前広場整備推進会議」を設置し議論の場が設けられた。17回におよぶ推進会議の開催を経て、基本コンセプト・基本レイアウトを決定するとともに、並行して開催された市民フォーラムにおいて、トランジットモール化の提案を受けたことにより、導入に向けた官民共同の取り組みが始まった。その後、市民フォーラムや専門家ワークショップ等が何度も開催され、市民の目の前で関係者間の議論が展開されるという画期的なプロセスを経ることで、各団体間の合意形成が進展し、基本コンセプトの決定からわずか5年という期間で、平成27年3月の姫路城大天守閣保存修理事業の完成による姫路城グランドオープンと時期を併せての完成となった。

姫路駅周辺を、都市の顔とするエントランスゾーン、高次都市機能が集積し商業・業務の拠点となるコアゾーン、市民のいこいとうるおいの場としてコンベンション施設等を整備するイベントゾーンに区分し、それぞれの特徴を持たせた整備を行っており、特に顔となるエントランスゾーンにおいては、正面に姫路城を望む立地を活かして、駅前や中心市街地活性化のイベントが数多く(平成30年度は379イベント)開催されている。

今回の視察では、実際に現地の駅前広場に立って説明を受け、最新の都市機能を持たせながらも、整備に際しては、かつての姫路城の堀跡をキャッスルガーデンとして整備するなどの歴史と文化を尊重した点についても学んだ。都市の規模や姫路城という大きなシンボルがあるなど、小山市の現状と異なる点もあるが、整備のコンセプトや事業手法、また、事業への市民参加の手法という点において参考になる点が多かった。姫路駅周辺については、今後もコンベンションセンターや総合医療センターなどの整備が予定されるなど更なる発展が見込まれており、引き続き当市の事業の参考としたい。

愛知県春日井市「高蔵寺ニュータウンにおける先導的モビリティを活用したまちづくりについて」

愛知県春日井市は、愛知県北西部に位置し名古屋市に隣接した都市で、人口約31万人を有する中部圏の中堅都市として発展している。

今回の視察項目である高蔵寺ニュータウンにおける先導的モビリティについては、昭和40から50年代までに名古屋都市圏の住宅需要の増加に伴い整備された高蔵寺ニュータウンにおいて、少子高齢化が進展したことにより、商業施設が集積化され公共交通がバス中心という環境において、坂道の移動困難性の克服やバスの本数減少、バス停から自宅までのラストマイル問題等が顕在化したことから、平成28年3月に「ほっとできるふるさとでありながら、新たな価値を提供し続ける持続可能なまちであり続けること」を目指すとした『高蔵寺リ・ニュータウン計画』が策定された。その中の各種施策の一つとして、交通拠点をつなぐ快適移動ネットワークの構築および身近な買い物環境の整備と多様な移動手段の確保策として、産学官連携等による自動運転技術の導入や新たなモビリティサービスの導入が検討されることとなった。

平成29年度以降、高蔵寺ニュータウン内において、名古屋大学やトヨタ自動車(株)などの協力のもと歩行支援モビリティや遠隔型自動運転、自動運転デマンド交通等の実証実験が行われ、高齢者からは実用化を望む声があがったとのことであった。また、『高蔵寺ニューモビリティタウン構想事業』が内閣府選定の近未来技術等社会実装事業に選ばれたことで、産学官の実装協議会を立ち上げ更なる推進を図っていくとのことであった。この事業により、新たなモビリティサービスと既存交通とのベストミックスを図り、地域の特性に応じた適切なモビリティサービスの社会実装を実現し、ニュータウン型MaaS(Mobility as a Service「移動のサービス化」)の構築を目指し、将来的には全国各地のニュータウンへの横展開を目指している。

今回視察したような高齢者の移動の課題は全国的な課題となってきており、小山市でも近い将来検討すべき時期が来ると思われる。既存の交通機関との調整や、自動運転に必要な高精度3次元地図の整備など、導入までのハードルは非常に高い分野であるとのことが、このような先導的モビリティ導入についての研究・実験についても注視し、今後の小山市に生かせるよう参考としていきたい。

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