コウノトリ「ひかる」・「歌」が産卵及び抱卵に入ったことが推定されました
▲巣にしゃがみ込み卵を温める「歌」と巣材を運ぶ「ひかる」(撮影:横田 耕司 氏)
小山市では平成24年(2012年)7月3日にラムサール条約湿地に登録された渡良瀬遊水地の「賢明な活用3本柱」のひとつとして、「コウノトリ・トキの野生復帰」を掲げ、環境にやさしい農業の推進等による「採餌環境の整備」と人工巣塔の設置等による「営巣環境の整備」に取り組んでおります。これらの取り組みが奏功し、平成30年(2018年)2月17日に千葉県野田市放鳥コウノトリ「ひかる」が、また、令和2年(2020年)3月11日には徳島県鳴門市生まれのコウノトリ「歌」がそれぞれ小山市に移住・定住し、同22日にコウノトリのカップルが誕生いたしました。
「ひかる」と「歌」は、渡良瀬遊水地内の人工巣塔及びその周辺を中心に行動を共にしていましたが、4月26日には巣にしゃがみ込むようになり、27日以降はどちらか1羽が巣にしゃがみ込み、交代で卵を温めるような行動が観察されるようになりました。このことから、コウノトリの保全に取り組む国内の飼育施設や行政機関等で組織されるIPPM-OWS(コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル)及び兵庫県立コウノトリの郷公園へ2羽の行動観察記録を提供し、両者のご協力のもと、産卵及び抱卵に入ったことが推定されました。
産卵及び抱卵が推定されたペア
【オス】「ひかる」4歳(個体番号J0128)
平成28年(2016年)3月28日 千葉県野田市「こうのとりの里」生まれ
【メス】「歌」2歳(個体番号J0181)
平成30年(2018年)3月13日 徳島県鳴門市(電柱巣)生まれ
産卵及び抱卵推定の経緯
渡良瀬遊水地の監視ボランティアにご協力いただいている「渡良瀬遊水地見守り隊」のコウノトリ行動観察記録をもとに、IPPM-OWS及び兵庫県立コウノトリの郷公園のご協力を得て、推定いたしました。
抱卵開始日を4月27日とすると、推定孵化日は5月30日頃となり、孵化に至れば、平成17年(2005年)の兵庫県での野生復帰開始以降(昭和46年(1971年)の国内野生コウノトリ絶滅以降)、東日本初の産卵・孵化の事例となります。
尚、兵庫県立コウノトリの郷公園によると、メスが2歳で産卵した例はこれまで2例しか確認されておらず、ともに孵化には至っていないとのことです。
観察時のお願い
- 繁殖期のコウノトリはとても神経質になっているため、観察や撮影は堤防上から行ってください。
また、大変危険ですので、路肩や路上など、通行の妨げとなる場所へは駐停車しないでください。 - 渡良瀬遊水地の小山市域では「渡良瀬遊水地の保全と再生及び賢明な活用に関する条例」によりドローンやラジコン等無人航空機の飛行が禁止されています。