博物館日記
博物館日記はじめました。博物館での出来事や、講座の様子等を紹介していきます。
目次(2023年4月から6月まで)
- 2023年4月23日 講座「博物館ボランティアの常設展示案内 じっくり知ろう小山の歴史」
- 2023年4月30日 企画展関連講座「甲冑を着てみよう」
- 2023年5月14日 企画展記念講演会「小山評定とその時代の軍装」
- 2023年5月21日 口演会「民話の語りを聞こう~民話が伝える豆知識~」
- 2023年5月27日 講座「火起こし体験」
- 2023年6月17日 講座「縄文土器を作ろう」
- 2023年6月24日 講座「草木染めでハンカチを作ろう」
2023年6月24日(土曜日)
講座「草木染めでハンカチを作ろう」
今日は博物館のまわりの植物を使って、ハンカチを染める体験をしました。
当館での草木染めの講座は今回が初めて。
うまくいくかドキドキの中、講座がはじまりました。
講座の様子
まずは材料選び。
今回は3種類の植物を用意しました。
博物館の前に生えている、枝の伸び放題のオモイガワザクラ。
木陰にわんさか茂るドクダミ。
植え込みのあちこちで顔を出す、背の高いヒメジョオン。
普段ならみんな剪定・除草して捨てるところですが、こと草木染めに関して言えば、大量にゲットできて、また生えてくるという、材料にもってこいな面々です。
ちなみに今回の一番人気は、黄緑に染まるヒメジョオン。
ドクダミは選ばれなかったのですが、煮ると臭いが凄いので、実は内心ホッとしました(笑)
材料を選んだら、さっそく煮込みます。
ソーダ灰を混ぜた水に材料を入れて、中火でコトコト。
植物の色素を抽出します。
その間に、ハンカチを輪ゴムでしばります。
しばったところは染まらずに白い模様になるという、しぼり染めの技法を使って、模様をつくります。
布をおってからしばることで、しま模様や丸模様などが作れます。
でも、実際にどう仕上がるかは染め終わるまでのお楽しみです。
30分ほど煮つめている間、ハンカチは銅の媒染液へ。
色がつきやすくなるための工程です。
そしていよいよ染めていきます。
弱火でハンカチに植物のエキスをしみ込ませます。
20分ほど煮たら、火を消して20分は放置。
冷めてきたら、色を定着させるために、再び媒染液に浸して20分。
それからもう1回、10分ほど煮つめて染めていきます。
染め上がるのは楽しみですが、待ち時間が長いのが難点。
そこで、煮ている間に、草木染めに関するクイズや、染織に関わる伝統工芸の動画、地元の名産品である結城紬の学習を行いました。
実際に草木染めを体験してみると、色々な植物や、工芸品に興味がわいてきます。
みなさん楽しく参加してくださいました。
そうして、2時間かけてハンカチが完成。
はたして出来栄えは…?
みなさん、とてもきれいに仕上がりました!
夏休みにも草木染め⁉
草木染めは、植物によって色が変わるのはもちろん、採集した季節、煮る時間や温度、媒染液の種類、染める回数など、いろいろな条件で仕上がりが変わります。
身近な植物を採集して調べたり、条件を変えながら草木染めをしたりすれば、立派な自由研究の完成です。
研究テーマに困ったときには、ぜひチャレンジしてみてください。
2023年6月17日(土曜日)
講座「縄文土器を作ろう」
今日は、前期講座「縄文土器を作ろう」を行いました。
今年もたくさんの方に申し込んでいただき、抽選漏れとなってしまった方もたくさんいらっしゃいました。
ぜひ来年も申し込んでいただき、当選されることを願っております。
講座の様子
土器作りには「野焼き陶土」(粘土)を使用します。
粘土をひも状に伸ばし、それを輪っかのようにして積み上げていく「輪積み法」という技法で作っていきます。
自分が作りたい形を想像しながら積み上げていくので、この時の皆さんの集中力はすごかったです。
仕上げに縄目の文様をつけたり、個性あふれる飾りをつけたりします。
そうして世界に一つしかない土器が作られていきます。
参加者の皆さんは、素晴らしい想像力と集中力で作品作りに取り組んでいました。
焼き上がりがとても楽しみです。
2023年5月27日(土曜日)
講座「火起こし体験」
今日は、講座「火起こし体験」を行いました。
今回の講座では定員20名程度に対して、64名ものご応募があったように、火起こしは開館当初から続く当館の人気イベントの1つです。
まいぎり式に挑戦
まずは、まいぎり式で火おこしを行います。
まいぎり式では、縄が巻き付いたり、ほどけたりすることで、棒を回転させ、その摩擦熱で火を起こしていきます。
当日は湿度が高く、火がつくかどうか心配でしたが、みなさん一生懸命がんばって、無事に火をつけることができました。
もみきり式にも挑戦
まいぎり式が終わった方から、もみきり式(きりもみ式)にも挑戦しました。
こちらは、縄の力を使わずに、自力で棒を回転させて火をおこします。
火をつけるには、力や根気が必要。難易度はかなり高めです。
ですが参加者の中には、もみきり式で火をつけることができた方もいました。
すごい!!
今回の体験を通して、昔の人々の苦労を知ることができたようです。
2023年5月21日(日曜日)
口演会「民話の語りを聞こう~民話が伝える豆知識~」
今日は、当館を拠点に活動している「小山民話の会 思川」のみなさんによる、口演会「民話の語りを聞こう~民話が伝える豆知識~」が開催されました。
「小山民話の会 思川」とは?
「小山民話の会 思川」は、2012年に当館を会場に開かれた、柏村祐司先生による民話の語り手養成講座を経て誕生した会です。
現在は「小山市立博物館友の会」の学習部会の1つとして活動しています。
昨年11月には、会誕生10周年を記念して、再び柏村先生を講師にお迎えした講演会を開催しました。
その際に、コロナ禍を乗り越えて民話を語り継ぐようにという、先生からの激励のお言葉を受けて、今回の口演会が企画されました。
口演会のようす
今回の口演会は、民話の奥深さを堪能していただけるよう、民話の会のみなさんの語りに、民俗担当学芸員が解説を加えるというスタイルで行いました。
はじめに、学芸員が民話には「昔話」「伝説」「世間話」などがあること、小山には文字化された民話だけで106話もの物語があることを話します。
それから、まずは昔話の語りが始まります。
題目は「山伏ごんだゆう」と「さるかにのお伊勢参り」です。
博物館ではコロナ禍を経て初めての民話語り。
実に4年ぶりとあって、緊張するとおっしゃっていた皆さんですが、語り出すと、意気揚々とされていました。
語り終わると、学芸員がそれぞれの話のポイントをまとめながら、昔話には、様々な知恵や教訓を物語の形で具体的に伝えるという教育的な力があると説明します。
続いては伝説。
今回は、「寺社の縁起の伝説」「小山一族の歴史の伝説」「小山の地理の伝説」の3つに分けて語っていただきました。
「寺社の縁起の伝説」で語っていただいたのは、博物館の近くにある「乙女不動」の伝説と、高椅神社の周辺に伝わる鯉を大切にする習俗の由来を物語る「禁鯉の宮」。
身近な寺社でも、その場所の伝説を聞くと、また訪れたい、大切にしたいという気持ちを芽生えてきます。
「小山一族の歴史の伝説」では、秀郷から小山氏へと代々伝わる「石塚の観音」を語っていただきました。
その後、祇園城の落城を伝える「実なしイチョウ」の伝説を会場の皆さんで語りました。
聞くだけでなくて、実際に語ることで、語りの難しさ・面白さを感じていただけたようです。
「小山の地理の伝説」では、洪水の多い小山に伝わる悲劇「亀の子堰」を語っていただきました。
長くて感情的な民話ですが、流石の技量で最後まで皆さんを惹きつける語りでした。
伝説は、郷土で大切にされるものが、なぜ大切かを伝える物語。
小山で生きる日々をより豊かに、より賢く過ごす知恵がつまっている、と学芸員が話します。
民話を語ってみませんか?
今回、「みんなで民話を語る」というコーナーを企画したのは大きな挑戦でした。
民話語りのイベントはどうしても、聞いて満足して終わってしまいます。
ですが、気付いてほしいのは「語る楽しさ」。
語り継ぐということが、民話の根幹です。
今回の語り手はわずか3名。
せっかくの技術も引き継げないともったいないところ。
今回の試みで、少しでも民話の語り手が生まれてくれると良いのですが…
今回の口演会に参加できなかった方でも、民話の会は毎月第2水曜日の午後に活動しています。
少しの見学でも歓迎していますので、興味のある方はぜひお立ち寄りください。
2023年5月14日(日曜日)
記念講演会「小山評定とその時代の軍装」
現在開催中の企画展「小山評定とその時代の軍装~伊澤昭二コレクションを中心に~」
その記念講演会「小山評定とその時代の軍装」が5月15日(日曜日)に開催されました。
講師には、今回の企画展で多くの所蔵品をご出品いただいた伊澤昭二先生(甲冑研究家・小山評定ふるさと大使)を講師にお迎えしました。
イベントの様子
まずは、今回の企画展開催の経緯や、戦国時代の甲冑についてご講話いただきました。
つづいて企画展示室に向かい、ご自身のコレクションをはじめ、展示されている甲冑や刀剣についてご紹介いただきました。
ちなみに、今回の講演会は定員30名のところ、申込多数につき急遽定員を40名まで拡張しての開催となりました。
展示室は近年稀にみる人だかり。
遠目だとどこに先生がいるかわからないほどです。
解説の後、質疑応答を経て今回の講演会は終了。
参加者のみなさんにも、当時の戦場を思い浮かべながら、武将たちの魂のこもった甲冑や刀剣をご覧いただけたと思います。
もっと甲冑を知りたい方へ
ちなみに、今回の展示解説図録は伊澤先生の解説つき。
講演会に参加できなかった方も、図録と一緒に展示を見ると、見方が変わるかもしれませんよ。
企画展は6月11日(日曜日)まで。
ご来館お待ちしております。
2023年4月30日(日曜日)
関連講座「甲冑を着てみよう」
現在開催中の企画展
「小山評定とその時代の軍装~伊澤昭二コレクションを中心に~」
今日は、その関連講座「甲冑を着てみよう」が開催されました。
イベントの様子
今回の講座では、現在、博物館のエントランスに飾られている甲冑の写し(レプリカ)を3組の方々に着ていただきました。
↓真っ赤な鎧は、
井伊直政の「天衝脇立具足(てんつきわきだてぐそく)」
彦根市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」のモデルにもなった、大きな脇立の兜が特徴的です。
↓小学校中から高学年のお子さんには、
金ピカの「金陀美塗黒糸威二枚胴具足(きんだみぬりくろいとおどしにまいどうぐそく)」
大河ドラマ『どうする家康』でも登場した、徳川家康所用の甲冑です。
↓こちらも徳川家康の甲冑
「羊歯大黒頭巾具足(しだだいこくずきんぐそく)」
関ヶ原の戦いや大阪の陣で使用した縁起の良い甲冑です。
今回は、親子で家康と直政になってもらいました。
定員が少なかった「裏事情」
ちなみに講座「甲冑を着てみよう」は、5月28日(日曜日)にも実施を予定しています。
ですが、もう既に定員に達してしまい、受付は終了しています。
実は、今回の講座は3組までという定員だったこともあり、申し込み開始から1時間以内に受付終了。
まさに爆速。近年まれに見る盛況ぶりでした。
だからこそ、本来であれば定員を増やして、もっとたくさんの方に参加してもらいたかった…のですが、
どうしようもない「裏事情」があったのです…。
「甲冑を着てみよう」は、小山市立博物館友の会の学習部会の1つ、甲冑部会のみなさんのご協力の下、実施しています。
ところが、このコロナ禍で甲冑を着るイベントは4年近く中止が続き、「活動ができないなら…」と会員数が激減してしまったのです。
わずか3名ほどのメンバーで着付けをするのですから、どうしても定員を減らさざるをえなかった。
これが、どうしようもない「裏事情」というわけです。
甲冑を「着せる側」になってみませんか?
今回は残念ながら参加できなかったけれど、
「やっぱり甲冑を着てみたい!」
「お子さんやお孫さんに着せたい!」
そんな思いをお持ちの方。
次のイベント開催を待つよりも、甲冑部会に入ってしまう方が案外、近道なのでは…!
お子さんやお孫さんに自分で甲冑を着せてあげるというのも、着付けの練習の一環ですからね。
こうしたイベントをこれからも継続していく上では、着付けの技術を継承していくことが必要不可欠。
ご興味のある方は、見学からでもOkです。
ぜひ博物館にご連絡ください。
2023年4月23日(日曜日)
講座「博物館ボランティアの常設展示案内 じっくり知ろう小山の歴史」
今日は博物館ボランティアの方々が日頃の勉強会の成果を生かして展示や博物館周辺の解説を行いました。
まずは、視聴覚室でのレクチャー。
地形や河川に注目して、小山市の発展の特徴を紹介しました。
続いて、常設展示室の解説。
勉強会でも度々取り上げた考古分野の解説には力が入ります。
今度は史跡めぐり。
まずは博物館のお隣、乙女不動原瓦窯跡。
古代の瓦造りの様子がよくわかります。
常設展示室にも出土品が展示されている、乙女不動原北浦遺跡(北浦公園)にも行きました。
更に、発掘が行われた場所を回ってテクテク…
ゴールは博物館裏手の亀田遺跡(亀田公園)
歩ける範囲でも博物館のまわりにたくさんの遺跡がみつかっているのですね。
ちなみに本講座は5月7日(日曜日)にも実施予定。
参加ご希望の方は、電話番号(0285-45-5331)にてお申し込みください。