主旨
小山駅東地区は、昭和40年代に実施した土地区画整理事業により基盤整備がなされたものであり、自動車交通を主体としていたことから歩行者系ネットワークが十分になされておらず、地域の特徴づけや歩行者の安全性の確保が課題とされていました。
そこで、平成3年度に小山駅周辺整備計画が策定され、駅東地区をネットワークさせる歩行者系道路として、小山駅から城東公園をループ状に結ぶコミュニティ回廊やまちのポイントとしての街角広場の整備について提言がされました。
加えて、平成元年度に策定された小山市都市景観ガイドプランを受けて、平成5年度に策定された駅東地区地区景観ガイドプランにおいても、クリエイティブな魅力空間を創出することや、まちのポイント(節)を特徴づけること等を地区景観形成の方針としており、実現化の方策として、市民参加や意識啓蒙としてのデザインコンペが提案されていました。
このような背景の中で、駅東地区において、個性豊かな魅力あるまちづくりを実現するため、近隣公園の一部を活用した街角広場整備を実施するにあたり、より優れた空間として整備するため、アイデア(企画)とデザイン(設計)を広く求めることを目的としてデザインコンペを実施したものです。
性格と方式
実施を前提としたデザインコンペで、公開設計競技方式
対象区域
城東1丁目地内「城東公園」の敷地の一部、及び周辺道路の一部。
なお、設計条件を満たすものであれば、形状及び面積は応募者の自由。
ただし、広場の機能確保及び事業費の制約から概ね1,000平方メートルから2,500平方メートル程度とし、角地を中心とした形状が望ましく、市立図書館との境界部以南かつ城東公園中央入口以東範囲で区域を設定する。
対象施設
街角広場及びそれに付随する修景施設、トイレとし、派出所は関連提案施設として位置づける。
主催
栃木県小山市
後援
- 栃木県
- 小山市都市整備委員会
- 小山市誇れるまちづくり委員会
- 小山市緑化審議会
協賛
- 下野新聞社
- 栃木県警察本部
- 社団法人栃木県建築士会
- 小山商工会議所
- 社団法人小山青年会議所
応募資格
学生及び一般とし、資格等の制限は問わない。
審査
デザインコンペ審査委員会において審査し決定する。
デザインコンペ審査委員会
委員長
河東義之(国立小山工業高等専門学校教授・建築)
委員
上山良子(上山良子ランドスケープデザイン研究所所長・ランドスケープアーキテクテュア)
委員
土田旭(都市環境研究所所長・都市デザイン)
他に、協力委員として、小山市都市整備委員会委員長、市企画部長、市土木部長、市都市開発部長が評決には参加せず、技術的・専門的な協力を行いました。
実施経緯
ポスター・チラシ配布(総数878箇所)
平成6年6月21日(火曜日)
第1回デザインコンペ審査委員会
6月28日(火曜日)
応募要領配布及び登録開始(配布総数569件)
7月8日(金曜日)
質疑受付開始
7月18日(月曜日)
登録締切(登録総数429件)
8月1日(月曜日)
質疑受付終了(総数93件)
8月4日(木曜日)
登録者全員に対し質疑回答書発送
8月16日(火曜日)
設計図書受付開始
9月16日(金曜日)
設計図書受付締切(受付総数149点)
9月26日(月曜日)
第2回デザインコンペ審査委員会
10月14日(金曜日)
入選発表(広報・新聞・雑誌)
10月19日(水曜日)
入選者表彰式・シンポジウム
11月1日(火曜日)
作品展示(市生涯学習センター)
11月1日(火曜日)から11月8日(火曜日)まで
審査基準
コンペにおける審査基準は、
- 小山市における新市街地の都市的景観を作っていく出発点になり、街の新しい顔になるべき性格を持っていること。
- 街と公園との接点をどのように提案するかが重要であること。
- 広場的街角として誰もが自由に出入りできること。
- ハード面だけでなくソフト面での提案も必要であること。
この4点とされました。
この基準に基づいて、一次審査で34点が選出され、それを二次審査において11点に絞り込んで、最終審査において、東京都の中町氏の作品が一席として入選し、他、二席2点、佳作4点が選出されました。
中町氏の作品は、まず独創性とデザイン的な統一感が評価され、円形広場を地下に埋め込み外部からの視線を避けた市民のふれあいの場を提案しています。
円形広場で直角に交わる斜めの軸線は都市的な緊張感を生み出しており、水や芝生を用いた幾何学的な広場も魅力的で洗練されていると評価されました。
市民がこの広場をどう使いこなすかという課題も提起しており、市民参加が整備の基本となっています。
入賞者
賞金総額150万円(賞品代を含む)
一席(楯及び賞金100万円)
中町仁治(有限会社空間計画研究所)
共同設計者
飯田克男
二席(楯及び賞金10万円)
- 佐藤博久(博(BAKU)建築研究室)
- 藤岡 勲(昭和アルミニウム株式会社)
共同設計者
有馬立郎、行事英雄
佳作(楯及び賞品[益子焼きの壺])
- 清水由行(株式会社アレフ)
- 坪山幸王(日本大学理工学部海洋建築工学科)
共同設計者
佐藤信治、石井昭博、林正輝、福田昌弘、石渡義隆、関谷和、則館吉保、清水信友
- 正井徹(正井徹建築設計事務所)
- 佐々木満(株式会社ナイカイアーキット一級建築士事務所)
作品の実施
一席のアイデア・デザインを尊重しながら、予算の枠内で一席入選者と協議するとともに、地区住民の皆さんの参加を積極的に推し進め、ワークショップ方式を導入することにより、整備を進めました。
また、完成後のイベントで「ステージ城東」という愛称も決定し、周辺住民の方々が中心となって「ステージ城東実行委員会」が組織され、地元主体のイベントが開催されています。
その他
審査の経緯及び入賞作品、応募作品を集成した作品集を作成し、作品提出者全員に配布しています。