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  • 【更新日】2021年4月1日
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【終了しました】「マチミチ会議 in 北関東」を開催!

北関東の街路を人のための空間に。「マチミチ会議 in 北関東」を小山市で初開催!

<当日の動画(以下の画像をクリックするとyoutubeにアクセスします)>

2019年4月16日、小山市で初となるマチミチ会議 in 北関東を開催しました。
本会議は、3月に国土交通省 都市局 街路交通施設課が主催した「全国街路空間再構築・利活用推進会議(通称・マチミチ会議)」の地方版第一弾。
「居心地の良い歩きたくなる街路づくり」を目指す北関東の実践者が集い、それぞれの都市で奮闘している状況と、街路利活用のこれからをディスカッションしました。
会場には自治体関係者、コンサルタントやまちづくり会社等の民間事業者、地域団体など150名以上の人々が集まり、終始熱気に溢れる時間となりました。

マチミチ会議 in 北関東01北関東は圧倒的に車社会。そんな北関東を、「人間中心」のまちへ変えよう!という提言がなされた。

本会は参加者のスマートフォンからコメントや質問を受け付けるオーディエンス参加型会議。冒頭で小山市都市整備部長・淺見知秀(以下、淺見)が「この会議への期待・意気込み」の投稿を呼びかけたところ、その回答は「チーム・課内で盛り上がっている」「自分も含めてまだ盛り上がりには欠ける・・・」というものが大多数でした。地域を巻き込みながら、これからどのように街路活用を進めて行くか、という点に課題が伺えました。

マチミチ会議 in 北関東02
会議中、参加者はスマートフォンで自由にコメントや質問ができる。

プレイスメイキングによって高まる日常の風景と人の実存感

会議は筑波大学芸術系 渡和由准教授(以下、渡准教授)の基調講演からスタート。
渡准教授は、1990年代からアメリカの環境デザイン事務所でプレイスメイキングとサイトプランニングをご専門に活躍され、筑波大学に着任後は、日本にプレイスメイキングを広めるべく10年以上にわたって様々な取り組みを行なっています。

マチミチ会議 in 北関東03
アメリカでの経験を踏まえながら、日本で行われているプレイスメイキングの取り組みを分析する渡准教授。公共空間と樹木の関係や、枠組みとしての建物の重要性を語った。

渡准教授によると、プレイスメイキングとは実存感を得られる居場所づくりの概念。実存感とは、「このまちに暮らして幸せだ」「気持ちのいい場所で過ごせて嬉しい」など、居心地の良い空間と相まって日常の中での感動や幸せを実感すること。

近年、まちの賑わいづくりとして日本で広まってきたプレイスメイキングですが、渡准教授によると、その主目的は「賑わい」ではなく、「ひとりひとりの心地よさと楽しさをつくる居場所づくり」をすること。

その一例として、プレイスメイキングの代表例として世界中でベンチマークされているブライアントパーク(ニューヨーク・米)を紹介しました。渡准教授の研究によると、人を中心としたプレイスメイキングには8つの場の要素が存在し、居心地の良い場は、これらの要素の組み合わせでできているといいます。

プレイスメイキングの要素
渡准教授が提唱するプレイスメイキングに必要な要素である「8つの場」。

また、居心地のよい街路や公園をつくるためには、人の目や機能配置の工夫も重要であるといいます。公園の近くにキオスク型のショップを置くことが見守りの役割を果たしたり、店舗の駐車場を建物の奥に配置することで、店舗を街路面に開いたりと、配置の工夫でまちの印象ががらりと変わります。

また、近年海外の事例が多く紹介されていますが、実は日本では江戸時代から建物と公共空間をシームレスに使いながら暮らしが営まれていました。同時に、江戸時代の茶屋、その周りの街路などで人が出会うことにより、商いや交流が自然と生まれていたのです。

国内事例の紹介では、渡准教授がフィールドとしているつくば市や下妻市、群馬県中之条町などの事例が紹介されました。

マチミチ会議 in 北関東04
縁側のようなデッキや室内の居場所がある店舗と植樹帯の座り場を効果的に連携させることで、街路と店舗が一体となったまちの居場所が形成される。

終わりに、世界のプレイスメイキングを牽引するProject for Public Spaceの創始者フレッド・ケント氏の言葉、「プレイスメイキングは即興的街路活動である」を紹介しながら、参加者に向け、来週からでもできること、明日からでもできることなど、誰でもが気軽に取り組めるプレイスメイキングの提案で締めくくりました。

各地の実践と試行錯誤から、街路利活用のヒントを探る

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アウトドアチェアでリラックスした雰囲気のパネルディスカッション。参加者がわくわくするような各地の事例が伝えられた。

続いて、車社会である北関東で、街路のあり方を変える取り組みを行っている実践者によるパネルディスカッションです。パネラー、コメンテーターには民間・国・県などの異なる立場から、心地よい街路空間づくりの動きを推し進める方々が登壇しました。

話題提供の1人目は、国土交通省都市局 街路交通施設課主査・今佐和子氏(以下、今氏)。冒頭に「そもそも街路とは?」という解説がありました。道には、「道路」と「街路」という2つの種類の道があります。これらは道路(road)=都市と都市を結ぶ道、街路(street)=都市の中の道、と異なる位置付けを持ち、街路は誰でもアクセスできる最も基礎的な公共空間であるといいます。

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車を通行止めにしたニューヨーク・タイムズスクエアを紹介。

今氏は、ドラスティックに街路のあり方を変えた世界の事例や、国内で変わりつつある街路の事例紹介とともに、車道幅員や構成を変えなくてもできること、制度づくりについて言及しました。

「様々なところで、公共空間を使う際の折衝ごとが属人的で、担当者が変わると急にできなくなったりすると聞く。そうではなくこれからは積極的に街路を活用できるよう、国としてやるべきことはいろいろある。その中でも盛り上げていくことは、個人的には一番重要なことだと思っていて、仲間を増やしていきたい。」という、これから日本全体の街路が変わる兆しを感じさせるメッセージが伝えられました。

2人目は茨城県土浦土木事務所 道路管理課長・中嶋克寿氏(以下、中島氏)。中島氏は、県道の道路管理者自らが活用の仕掛け人という全国でも先進的なパターンです。

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渡准教授もアドバイザーとして加わり実現したつくば市のプロジェクトを紹介する中島氏。

つくば市の街路は、街路樹が大きく育ち立派なプロムナードを形成している反面、根上りや維持管理の課題が大きくなっています。そこで、街路樹の維持・再生計画の一貫として、植樹帯管理と場の運営を一体とした社会実験を実施しました。

社会実験では、沿道の店舗と連携し、植樹帯部分の低木を剪定したり、誰でも座れる手作りベンチを置いたりと、街路を人の居場所に変える取り組みを行いました。沿道店舗には、街路を自分の庭に見立てて活用してもらいます。設置した際には大学がそこで授業をしたり、自転車で来た人がコーヒーを買って飲んだりと、様々な人に利用してもらえたといいます。継続的にこのような取り組みを行い、沿道の店舗をさらに巻き込みながら広がることを期待していると語りました。

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3人目は高崎商工会議所 地域振興課長・西山和久氏(以下、西山氏)。高崎といえば、道路占用許可特例制度を全国に先駆けて本格的に運用し、オープンカフェを開始したことでも知られるまち。「高崎まちなかオープンカフェ事業」は商工会議所が仕掛け人となって官民が連携して実施しており、空間形態には、道路占用型、公共用地型、民有地利用型など、様々なパターンが存在します。いずれも場所の空間特性に合わせて、様々な関係者と協議をして設置しています。

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平成23年から始まった高崎オープンカフェの変遷。

オープンカフェに合わせて音楽ライブや、落語、マジックショーが行われている日もありますが、西山氏は「オープンカフェでの特別なイベントに来てもらうのではなく、街に来た人が偶然そのイベントを体験し、ワクワクして笑顔やコミュニケーションが生まれることが大事」と語りました。

パネラー4人目として小山市淺見からは、小山市の取り組みを紹介しました。小山市では、2019年3月30日から4月21日まで、祇園城通りで「テラスオヤマ」という街路空間利活用の社会実験を行いました。祇園城通りは小山駅と思川までをつなぐメインストリート。イベント時には人で賑わいますが、日常は人通りが少なく、閑散としていることが多い状況です。そこで、この街路のポテンシャルを最大限に引き出すため、近隣店舗と連携しながら歩道をテラスに見立てて椅子とテーブルを設置し、まちのなかに様々な「座り場」をつくりだしました。SNSなども積極的に活用し、様々な人に「使いたい」と思ってもらうイメージづくりを心がけています。

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コーヒー店の店先にも設置した「テラスオヤマ」に、まちの人が集う。

道を使うことの公共的価値とは。まちづくりにおける街路空間利活用の意味を問う。

続いて行われた登壇者ディスカッション。コーディネーターは栃木県中小・小規模企業支援室長・大森豊氏(以下、大森氏)が務めました。冒頭では、茨城県副知事・宇野善昌氏(以下、宇野副知事)から、そもそも「なぜ街路空間を活用しなければいけないのか?」を議論すべきという問題提起がありました。

かつて国交省都市局で都市政策に携わっていた宇野副知事は、「都市の本質として、最後に残るのは"交流”ではないか」といいます。街路で起こる偶然の交流・出会いがイノベーションを起こします。

また従来計画されてきたインフラとしての街路は、いかに自動車交通をスムーズに捌くかに注力してきました。しかし、宇野副知事はこう語ります。

「今までまちづくりというと建物のことを考えてきたが、これからはまちにとって重要な道を考え直そう、という時代になってきた。マチミチ会議というのは、まちにとって重要な要素である「道」を考えることでまちづくりを考え直そう、ということではないかと思います。」

その上で、街路を利活用したいという想いを持つ聴衆へのヒントとして、「行政は単に居心地がよいという理由だけではなかなかGoが出せないものの、まちの公共的価値として何が生み出せるかをポイントとして議論し、きちんと評価できれば実現可能性がある。」と語りました。

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街路を使うことの公共的価値とは何か。宇野副知事からは、議論の根源となる問いかけがあった。

次に、「使われる街路」運営継続の秘訣を、コーディネーターから全員に問いかけます。高崎市のオープンカフェでは、マップの作り方の工夫、店舗が街路の美化活動を行うことで占用料を減免していること等が挙げられました。また、オープンカフェに対する来街者からの評判はよい一方で、椅子やテーブルを設置する店舗側の人員不足などから設置できないことがあることも課題として挙げられました。

そして渡准教授からは別の切り口として、ある程度の温度差も許容し、目標を設定しすぎないことが自由な工夫と継続につながるという助言も。

熱気あふれる会場からの質疑では、「現在歩道で行なっているイベントを将来的には車道も使って行いたいと考えているが、なかなか許可が下りない。」という悩み相談が。それに対するコメントとして、計画を固める前の柔らかい状態の時に事前相談をし、課題を共有して許可権者の警察や道路管理者と対立構造をつくらないようコミュニケーションを図っていくことが挙げられました。

また、道路利活用の場面でよく使われる「社会実験」という言葉。市民から見ると、実験した後にはすぐに元に戻ってしまうように見えるため、長期的な見通しを知りたいという意見も。パネリストからは、常設を目指した社会実験は試行期間であるという前提の上で、周囲の環境との調和や人がそこを訪れるようになるための検証期間であると説明。社会実験等の取り組みの目的や長期的展望を、広く周知するための施策が求められています。

これからの街路を前向きにあかるく使い倒そう

終わりに宇野副知事から、道路利活用をはじめるための3つのポイントが総括されました。

  1. 取り組みを継続させていくための緩やかなルール、継続のための資金調達の仕組みづくり
  2. 成果を評価し、公共性を示すこと
  3. 小さな取り組みから始めること

これらのポイントを積み重ね、様々な都市が互いに知恵を貸し合いながら前向きに明るく道を使い倒すことで、日本の街路は変わる。
新たな歴史のはじまりを予感させる言葉で、会議は幕を閉じました。

街路利活用の先陣を切った登壇者、またこれから挑戦者となる参加者が一同に集う機会となった「マチミチ会議 in 北関東」。
様々な地域の実践ノウハウを共有することで仲間になり、また試行錯誤を重ねながら前進していく。その繰り返しによって、北関東での豊かな街路づくりが実現できるはずです。

小山市初のオープンテラス化社会実験として実施した「テラスオヤマ」を皮切りに、小山市では今後も街路のあり方を検討していきます。

マチミチ会議 in 北関東12マチミチ会議 in 北関東13

【マチミチ会議 in 北関東 概要】

日時:2019年4月16日13時から16時まで
場所:小山市立生涯学習センター
主催:小山市
協力:国土交通省、茨城県、栃木県、群馬県
後援:栃木県まちなか元気会議

【プログラム】

基調講演「プレイスメイキングの理論と実践」
渡 和由(筑波大学芸術系 准教授)

パネルディスカッション登壇者

  • 渡 和由(前掲)
  • 宇野 善昌(茨城県 副知事)
  • 中嶋 克寿(茨城県土浦土木事務所 道路管理課長)
  • 西山 和久(高崎商工会議所 地域振興課長)
  • 今 佐和子(国土交通省都市局 街路交通施設課主査)
  • 淺見 知秀(小山市 都市整備部長)

コーディネーター

  • 大森 豊(栃木県 中小・小規模企業支援室長)

事前アンケート結果事後アンケート結果

小山市において4月16日、街路空間再構築・利活用に向けた取組みを北関東に広げることを目的とした、日本で1番目に開催となる地方版マチミチ会議「マチミチ会議 in 北関東」を開催します。

世界中の多くの都市で、街路空間を車中心から“人間中心”の空間へと再構築し、沿道と路上を一体的に使って、人々が集い憩い多様な活動を繰り広げられる場へとしていく取組みが進められています。これらの取組みは都市に活力を生み出し、持続可能かつ高い国際競争力の実現につながっています。これを受けて、国土交通省では国内の街路空間の再構築・利活用の先進的な取組み(渋谷、大阪、さいたま、北九州)を全国の自治体担当者等と共有し、新たなまちづくりの全国展開を目指し、第1回全国街路空間再構築・利活用推進会議(通称:マチミチ会議)を2019年3月13日に開催したところです。

これを受け、本会議では、北関東で街路空間を活用したい、活用しているという自治体担当者、民間事業者等が一同に会し、有識者の講演や既に取組みを行っている担当者らのパネルディスカッションを通じて、街路空間再構築・利活用に関する知見を深め、新たなまちづくりを北関東に展開していくことを目指します。

世界のマチミチ会議01世界のマチミチ会議02

開催概要

  1. 名称
    マチミチ会議 in 北関東
  2. 日時
    平成31年4月16日(火曜日)13時00分から16時00分まで
  3. 場所
    小山市生涯学習センターホール(ロブレ6F)小山駅徒歩1分
  4. 対象
    どなたでもご参加いただけます
  5. 内容
    1)基調講演「プレイスメイキングの理論と実践」
    (筑波大学芸術系 環境デザイン領域 准教授:渡 和由 氏)
    2)パネルディスカッション
    渡和由准教授・小山市・茨城県・高崎市商工会議所・国土交通省
  6. 参加申し込み
    【定員120名、提出〆 平成31年4月11日(木曜日)】
    別紙による申し込み用紙提出 または マチミチ会議 in 北関東 申込フォーム
    マチミチ会議申込フォーム
添付資料

主催:小山市
協力:国土交通省、茨城県、栃木県、群馬県
後援:栃木県まちなか元気会議

このページの内容に関するお問い合わせ先

まちづくり推進課

〒323-8686 栃木県小山市中央町1丁目1番1号 4階

電話番号:0285-22-9337

ファクス番号:0285-22-9685

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