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  • 【更新日】2024年6月5日
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全国オーガニック給食協議会 令和6年度総会

5月30日、全国オーガニック給食協議会の総会が新宿のパルシステム生活協同組合のビルで開催されました。
全国オーガニック給食協議会令和6年度総会

会議では、代表理事であるいすみ市の太田市長から、韓国、EUのように給食はみんなオーガニックは実現できると力強いごあいさつがありました。
続いて、令和5年度事業報告・決算報告、令和6年度事業計画・予算の説明がありました。
今年の視察研修会は7月12日に長野県松川町で、第2回全国オーガニック給食フォーラムは11月8日、9日に茨城県常陸大宮市で開催されます。
さらに、会員自治体取組報告ということで、松川町の取組について北沢町長から、常陸大宮市の取組について鈴木市長から報告がありました。
そして講師による講演をご紹介します。

オーガニック給食をめぐる世界の動向と日本の今後の取組
関根佳恵、愛知学院大学教授

1.食と農をめぐる危機と有機農業への転換

関根さんは、世界の80億人のうち30億人が健康的な食事を摂れず、9億人は食料不安があるのに、食料の3分の1は廃棄されている。生物多様性喪失の原因の8割が農業という国連のレポートがある。コロナ禍・ウクライナ危機で農と食のあり方が問い直されていて、グローバル化は逆回転していると指摘し、国際的には食料を「商品」から「権利・人権」位置付け直す議論が盛んになっていると話しました。

2.公共調達における「食」とは

次に「よい食」の定義として、戦後の食糧不足に対応する量的充足から味、鮮度→安全性、栄養と変わり、今は五感で知覚できない品質(文化的適切さ、公正さ、人権、労働環境)や持続可能性(環境・社会・経済・統治)になっていると話しました。
そして、有機給食・公共調達をめぐる2つのプランを示して、新自由主義的プランでは食は私的財(自己責任・市場競争)であり、給食費は受益者負担(払わざる者食うべからず)で、「有機」の位置づけは個人の嗜好品・奢侈品となる。福祉国家的プランでは食は共通財(コモン)であり、給食費は応能負担または無償で、「有機」の位置づけは社会的必需品となると話しました。

3.オーガニック給食をめぐる動向:フランスの事例

続いて、エガリム法等、オーガニック給食をめぐるフランスの事例に触れ、「なぜ給食を無償化するのか?」の答えとして、食料への権利の保障(人権としての食)、食べる権利があると話しました。 そしてEUの給食費の無償化の事例を紹介し、日本では2022年は451自治体、完全給食自治体の3割が給食無償化を行いました。学校給食無償化の予算規模は年間4,600億円であり、防衛費は2023年度1兆4,000億円増えたと話しました。 また、フランスのル・マン市やモントルイユ市の献立表を紹介し、そこには有機農業の食材であることが示されていました。さらに、給食食材費を抑える工夫として、旬の食材:安くて栄養価が高い、素材から調理する、ベジタリアン給食の導入:たんぱく源について肉魚をグラム単位で減らし、卵、乳製品、豆類、全粒穀物、野菜から摂取、食品ロスを削減をあげ、7割の自治体で食材費は値上がりなしか減少と話しました。 最後に、EU・フランスにおける有機農業の研究・革新と普及の特徴として、研究機関から農家へのトップダウンではなく農家主導の多様な主体のネットワークを重視していて、イノベーションを重視していると話し、日本のイノベーションはドローンでの農薬散布ですが、EUから見た日本のイノベーションは産消提携であり、EUの最も大きなイノベーションは大規模農業から小規模農業への補助金の付け替えですと話しました。

4.日本の今後の取り組みへの示唆

公共調達に「よい食」を導入する上で直面する5つの問いへの答えを示しました。

1 なぜ現状のままではダメなのか?

農薬・GMO等の悪影響が明確に認識・共有されていること、BSEやダイオキシン汚染等の大きな食品スキャンダルによって、工業的な農と食のシステムを社会が拒否していることをあげました。

2 追加費用を誰が負担するのか?

旬の食材調達、食品ロス削減、ベジタリアンメニューを導入することで、給食費は必ずしも高くならないこと、行政による追加的負担について話しました。

3 安定的に調達できるのか?

調達計画について「小さく始めて、大きく育てる」こと、有機農業生産者を育成すること、間を取り持つマッチングが重要なことについて話しました。

4 有機農業の技術をどうやって習得したらよいのか?

地域の篤農家から学ぶこと、農家から公的研究機関が学ぶこと、農家を育成する場の教育改革をあげました。

5 政府が自由な市場取引に介入してよいのか?

他国では地元産、小規模・家族農業産、有機・無農薬の調達を法律で義務化している事例があることを紹介しました。

まとめ

最後に公共調達は社会を変革するかと問題提起し、公共調達の変革は多様な社会問題解決のマスターキーになりうる。どのような社会経済モデルを未来社会に選ぶのか、私たちの選択が問われていると話し、
学校給食、公共調達を変えることは社会を変えること
と締めくくりました。

また、講演後の質疑では、家族農業の10年についてふれ、国連では2024年までに100カ国で家族農業のための行動計画を作ることになっていますが、まだ、スペイン、ポルトガル、インドネシア等10カ国しか作っていない。3月の院内集会で政府に確認したところ、日本として国内行動計画を作ることはないとの回答だったと話しました。

農業政策は国の施策が中心で、自治体ではできることが限られますが、家族農業の推進につながる公共調達の拡大を進めていこうとおもいました。

全国オーガニック給食協議会では会員を随時募集していますので、興味のある方はホームページをご覧ください。 
全国オーガニック給食協議会

関根佳恵さんのホームページ
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン

このページの内容に関するお問い合わせ先

農政課 担い手・農地総合対策室 環境創造型農業推進係

〒323-8686 栃木県小山市中央町1丁目1番1号 5階

電話番号:0285-22-9269

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