現地セミナー
8月22日野木町佐川野の舘野さんの田んぼで有機農業現地セミナーが開催されました。町民、農家、大学生、野木町、栃木県など24名の参加がありました。舘野さんは舘野かえる農場で有機稲作15ヘクタール、その他有機小麦や有機大豆を作っていて、NPO法人民間稲作研究所の理事長です。
舘野さんによると、佐川南地区の土地改良は全体で80ヘクタールあり、15年前に開始され3年前に完成したとのこと。
最初に見学した田んぼは1枚で70アールあり、有機稲作6年目、用水は自然水(川の水)です。
秋起こし
稲作は春に始まると思いがちですが、始まりは秋起こし。
稲刈をしたら11月までに耕耘する。田んぼの水分量は30%くらい。寒いと稲わらが分解されない。早すぎてベタベタもだめ、水分量50%ではだめです。
代かき
ここは舘野さんの田んぼでは一番雑草が多いとのことでしたが、雑草はほとんどありませんでした。
緑肥としては、大豆、ヘアリーベッチ、れんげがありますが、田んぼに施肥はしていません。
代かきは3回行ったほうがよく、
代かき1回目、浅水(1,2センチ)で草を埋め込むように。
代かき2回目、10日後、深水5センチ。
代かき3回目、1週間後
水位によって除草効果がちがいます。
田植え
この田んぼは田植えが5月30日で、成苗、4.5-5.5葉、ポット苗。
マットでも成苗はできる。民間稲作研究所でもマット苗の人が多い。
マットの場合は、播種量1枚60g、すじまき。
人間のやることは田植えまでとのこと。
深水管理
深水管理は、苗が水没すると枯れてしまう。
しばらくは土を見せない。3センチからはじめて10センチくらいまでにする。
水管理が悪いほ場というと、水がこない、漏水が考えられますが、一番水が来る時に深水代かきをする。
深水管理は2週間、長すぎると、分けつしません。
雑草対応
コナギ…対策は代かき。トロトロ層が足りない。コナギの生えるほ場はよいほ場。光で発芽。トロトロ層を上層にする。
ヒエ…原因は漏水、水平でないなど。
クログアイ…対策は、秋に田んぼを乾かす。生えてきたら代搔き。
雑草は生やすことが基本。
いつどういう条件で生えてくるか、雑草の性質を知ることが必要とのことでした。
稲作の環境負荷低減(IPM)
次に、NPO法人オリザネットの斉藤さんから稲作の環境負荷低減(IPM)についてお話がありました。
農薬はやめましょう、除草剤を一回にしましょう。
箱施薬は、イネミズゾウムシの虫対策で、県の病害虫予報等を参考に、虫がいたら来年やればよい。
虫はいてもよい。発生量から収量に影響があるかないかで判断する。
今年はイネカメムシが50年ぶりに大量発生しているが、大切なのはきちんとした苗をつくること。
田んぼの調査をしたが、空散前でも田んぼにイネカメムシはいなかった。あぜの雑草にいるとのことでした。
最後に舘野さん宅近くの田んぼを見学し、終了となりました。
セミナーの資料として、栃木県が現在作成している有機水稲マニュアルの抜粋の配布がありました。
野木町でグリーン農業推進協議会が設立され、有機農業のイベントに多くの参加がありました。
舘野さんの田んぼは、いつ訪れても抑草され、立派な稲が育っています。
小山でも舘野さんの技術に習って、有機稲作を推進していこうとおもいます。